千葉・鎌ケ谷市が今、街の象徴を巡って直面している事態に揺れています。
7日、プロ野球北海道日本ハムは2030年ごろまでに2軍の本拠地を現在の鎌ケ谷市から1軍の本拠地エスコンフィールドがある北海道・北広島市周辺に移すことを正式発表。
これを受け、鎌ケ谷市の日ハムファンからは「悲しい…寂しい…」「身近に行けるホーム球場的な場所があると身近な感じがして良かった」など嘆きの声が上がっています。
これまで、1軍と2軍の施設が離れた場所にあることで長距離移動の負担などが指摘されてきましたが、移転が実現すればチームの拠点は北海道に集約されます。
球団の栗山英樹CBO(64)は「本当の意味で育成できる拠点を北海道につくらせてもらいたい。全てに対してどこにもない“世界一の施設”をつくるようお願いする」と期待感を示しました。
その上で口にしたのは鎌ケ谷に対する感謝の言葉です。
栗山英樹CBO:
鎌ケ谷の皆さんには球場施設を含めて本当に感謝しかない。あの球場(鎌ケ谷スタジアム)があったことでファイターズから世界に羽ばたいた選手たちがいっぱいいる。
今やメジャーリーグのトッププレーヤーとなった大谷翔平選手(31)やダルビッシュ有投手(38)を輩出した日本ハム。
これまで数多くの甲子園のスターたちが鎌ケ谷スタジアムに併設された選手寮でプロとしての第一歩を踏み出し、成長を遂げてきました。
今もその姿が輝き続ける鎌スタファンの本音は…。
日本ハムファン:
“鎌ケ谷と言ったらファイターズ”と根付いているので、(スタジアム)なくなっちゃうと、鎌ケ谷って何があるのかなって。代わりに何かっていうのも簡単には、経済的にも難しいでしょうし。厳しいのかなと。
ファンが心配するのは、街の象徴を失うことによる大ダメージです。
というのも、鎌ケ谷市の固定資産税による歳入は千葉県の37の市のうち下から2番目の低さ。
現在はスタジアムや選手寮の固定資産税と若手選手の住民税が課税対象ですが、施設が移転すればそれもなくなり、さらなる減収に見舞われる可能性が高まっているのです。
大谷ラーメンなどが人気で、日ハムファンの聖地と呼ばれる町中華「kaname」の五十嵐和磨店長は2軍拠点の移転表明を「ファイターズとのイベントみたいな、子どもたちとの交流がなくなってしまう方が、私は金銭面より残念というか、もったいないというか心配というか…」と心境を語りました。
さらに、清宮くん焼肉チャーハンなどが名物となっている店には、移転を聞いて来たという人の姿もありました。
東新軒 店主・新川雅久さん:
(移転まで)4、5年はいてくれると思うので、その5年間をかみしめる。移転してもファイターズを応援することは変わりはない。
今後に向け、ファンはどのような鎌スタ活用法を思い描いているのでしょうか?
日本ハムファンは「球団を大きくするにあたって、それこそ3軍とかつくってもらったり、(3軍の)施設として残していくとか」「高校野球とか、もし使えるなら使ったりとか、草野球とかどうなのかわからないけど」などと話しました。
球団側も何らかの活用策を講じたい考えです。
栗山英樹CBO:
その(鎌ケ谷の施設の)使い方は全然これからだと思うが、やっぱり本当に感謝しかない。
長年タッグを組んできた鎌ケ谷市長も…。
鎌ケ谷市・芝田裕美市長:
今後も球団と市との長い歴史を踏まえ、引き続き連携は強化・継続していくということで一致しました。
遠く北海道へと移ったあとも、町とチームがつながっていくことを多くの人が望んでいます。