3Dプリンターを活用した、環境にも優しい家づくり。
住宅建設の常識を覆すコストの削減と工期の短縮に迫りました。
アメリカ北東部メーン州の“きこり”たち。
切り出した“丸太”ではなく、地面に落ちた“木くず”が、地元の課題解決へのカギを握っています。
メーン大学 ハビーブ・ダーガー博士:
メーン州では毎年100万トンの廃材が出る。廃材を使い、3Dプリンターで住宅を製造できないかと考えた。
メーン州では、物価の高騰や労働力不足で低価格帯の住宅が減少し、ここ数年、路上生活を余儀なくされている人が激増しています。
この課題解決に立ち上がったのが、地元のメーン大学。
最新技術を使った、人にも環境にも優しい挑戦に迫りました。
19世紀にアメリカの木材産業の中心地だったメーン州。
この時期、地元で人気のアトラクション会場では、きこりたちによるショーや、おのの的当て、丸太切り体験などができます。
木くずから家をつくる、植物由来のバイオホームとは?
メーン大学 ハビーブ・ダーガー博士:
「バイオホーム3D」へようこそ。こちらは、世界初の全バイオベースの3Dプリンターで作られた家です。こちらはベッドルームで、1つのピースでつくられている。
案内してくれるのは、メーン大学のハビーブ・ダーガー博士。
バイオホームの材料は、粉末にした廃材と植物由来の原料「バイオポリマー」を配合したペレット。
壁と天井は一枚板のようにつながっていて、よく見てみると、何層にも細い線が折り重なっています。
バイオホームを作っているのが、ギネス記録を保持している、長さ18.3メートル、幅6.7メートル、高さ3.4メートルの世界最大の3Dプリンターです。
現在の技術では、約56平方メートルの1LDKを1週間足らずで建てることができるといいます。
この規模の家をメーン州で買うと4000万円前後。
バイオホームなら、材料費と建築費がこの4分の1程度で済み、低コストで家をもつことができます。
さらに、取り壊して再び粒状の素材にすれば、新たな家を建てることも可能です。
耐久性・耐火性にも優れているバイオホーム。
ダーガー博士は、自然災害が多い日本での仮設住宅としての活用にも意欲を見せています。
メーン大学 ハビーブ・ダーガー博士:
この技術に興味があり、応用したいという日本の人たちとぜひコラボしたい。
世界最大の3Dプリンターで世界を救うバイオホームの普及へ。
実用化に向けたメーン大学の挑戦は続きます。