日本の航空各社では7月8日から、モバイルバッテリーの機内への持ち込みに新たなルールが設けられました。背景には、国内外で相次ぐ火災事故があります。便利な一方で、思わぬ危険も潜むモバイルバッテリーは、より慎重な扱いが必要です。
7月8日、セントレアから出発する日本航空の札幌便の搭乗口では、モバイルバッテリーの新たなルールが呼びかけられていました。
スタッフ:
「モバイルバッテリーは座席の上の棚には入れず、機内でご使用の際はお手元、または座席ポケットなど、常に状態が確認できる場所でご使用ください」
モバイルバッテリーはこれまでも預け入れの荷物に入れることはできませんでしたが、さらに座席の上の棚に入れず手元で保管すること、機内で使うときは常に状態が確認できる場所で行うことが追加されました。
乗客:
「今まではリュックに入れて棚の上にあげて。(入れる場所を)変えましたね、手元に置けるように」
別の乗客:
「ニュースで見て忘れていて、いま取り出したところです」
ルールが厳しくなったきっかけは、2025年1月に韓国で航空機が炎上した事故です。乗客全員が避難しましたが、荷物棚にあったモバイルバッテリーからの出火が原因である可能性が指摘されています。
さらに2025年3月、中国・香港航空の機内で発生した火災も、乗客のモバイルバッテリーなどから出火したとみられています。
モバイルバッテリーを原因とした火災は、別の場所でも起きています。
愛知県大口町にあるごみ処理施設では2025年4月、搬入された廃プラスチックを破砕機で小さくする際に、ごみから出火しました。モバイルバッテリーなどに使われるリチウムイオン電池を使った製品が混ざっていたことが、出火原因とみられます。
2019年には、一宮市のごみ処理施設でもリチウムイオン電池が原因とみられる火災が発生し、不燃ごみを処理するラインが1年以上使えなくなりました。
モバイルバッテリーは便利な一方で、危険も潜んでいます。国交省は7月8日からの機内への持ち込みルール変更で、「早く気づき初期消火につなげられる」としています。