2024年4月から運用が始まった日本版ライドシェア。1年あまりが経過する中、現状はどうなっているのでしょうか?
“日本版ライドシェア”開始から1年あまり
2024年7月、県内で一早く“日本版ライドシェア”に参入した静岡ひかりタクシー。

現在の稼働状況を尋ねると「正直なところ現在はほぼ稼働していない状況」と静岡ひかりタクシーの泉真 社長から返ってきた。
ドライバーはOBが担ってきたが、そのOBが辞めてしまったことなどから2025年1月以降は事実上、稼働できない状態が続いているそうだ。

さらに「なかなかマッチングしない。需要と供給がマッチングしないという課題がある」と泉社長は話す。
静岡ひかりタクシーによると安倍川花火大会をはじめとする大型イベントが市内で開催された時には1日に7~8件の依頼があったもののそれ以外はまったく稼働しない日も珍しくなかったそうだ。
静岡ひかりタクシーの泉真 社長は「地方都市に本当にライドシェアが必要なのかというデータを取り本当に日本版ライドシェアが必要なのかどうか試しにやってみたという経緯があるので長くはあまり考えていなかった」と打ち明けた。

県内で日本版ライドシェアの運行許可を得ている事業者は8つ。このうち7つの事業者は実際に稼働したものの取材に対して「採算が合わない」「需要がない」といった声が目立つ。
成功事例を参考に
決して上手くいっているとはいえない状況に静岡県の鈴木康友 知事は「なかなかタクシー事業者など既存の交通業者との調整が難しい。初めてのことなので」とコメントした。
全国的にタクシードライバー不足が続く中、大分県別府市では海外から来た観光客などの移動手段を確保するため4月28日から自治体ライドシェアの実証実験を開始。
約3週間で1594件の配車要請があり、このうち6割以上に当たる997件の依頼に応えることができたそうだ。

この結果に大分県別府市・長野恭紘 市長は「当初の目的であるインバウンド対策の効果をあげられていると考えている」と手応えを口にしている。
さらに日本版ライドシェアは地域の足として活用。2つのライドシェアの共存により大きな成果が得られたという。

鈴木知事も「別府の状況を見ても非常にうまく稼働し、成果をあげている例もあるので、参考にしながら(県内でも)情報提供したり相談に乗ったりしていきたい」と他地域での成功事例を参考にしていく考えを示した。
どうなる“日本版ライドシェア”
では今後、日本版ライドシェアはどうなっていくのだろうか?

地域交通の利便性向上を目指す団体の全国自治体ライドシェア連絡協議会・池上明子 理事は「皆さんが努力して来たデータを持ち寄り、データに基づく政策を作るというサイクルに2年目は持っていく必要がある。それには県や市町が音頭を取りタクシー業者と連携することが重要」とこの1年で得られたデータを効果的に活用していくことが求められていると話す。
2024年1年間の外国人観光客は約3687万人と前の年と比べて1180万人増えて過去最多を更新した日本。

県内でも清水港へのクルーズ船の寄港が急増するなどライドシェアへの需要は間違いなくあるだけに的確な施策の立案と展開が求められていると言えそうだ。
(テレビ静岡)