福島市中心部の河川敷に現れたクマ。目撃から1週間が経ち、クマは山へ逃げたと見られるが、生活圏で相次ぐ出没に警戒が続いている。
■中心部から山へ川沿いを移動
福島市の佐倉(さくら)小学校。福島市内で相次いだクマの目撃を受けて、保護者に警戒を呼びかけ、児童もクマ鈴を身に着けるようになった。
校長の佐藤友子さんは「学校と自宅のすぐ近くなので、いつクマが現れるか大変心配」と話す。
6月30日に福島市の市街地に出没した体長1メートルほどのクマ。まだ子どもと見られていて、茂みを移動しながら、時折川を渡ろうとする様子も。福島市の職員が麻酔銃を撃ったものの捕まらず、行方をくらませた。
目撃情報をたどると、クマは鳥谷野(とやの)近くの荒川の河川敷から川に沿って移動を続け、翌日には八木田橋(やぎたばし)の近くに。最後に目撃されたのは7月3日、最初の場所から直線距離で5キロほど離れていて、川沿いを西へ移動していったという。
■対策強化を求める要望
こうしたなか、7月7日に福島市が福島県に提出したのが、クマへの対策の強化を求める要望書だ。福島県が管理する河川について、クマの隠れ家になりうる草木を刈り取ることや個体数の管理について支援を求めた。
福島市の木幡浩市長は「県も今のこの出没状況について非常に重く受け止めていただいて、市町村と協力してクマ対策強化していきたいというのが全体的なトーンだった」と話す。
■児童に被害が及ばぬよう
2025年度に福島市へ寄せられたクマの目撃件数は6月までに62件。このうち住宅街での目撃は25件に上っている。
佐倉小学校があるのは、クマが最後に目撃された荒川の河川敷から1キロほどの場所。校長・佐藤友子さんは「子どもが被害に遭わないよう巡回とか、お知らせを学校にもその都度ご連絡の方いただけると、学校の方でも対応ができますのでその点お願いしたいと」と話し、子どもたちへの被害を防ぐため、巡回の強化や迅速な情報共有を求めている。
■再び戻ってくる可能性も
人の生活圏で目撃が相次ぐクマ。専門家である福島大学食農学類の望月翔太准教授が指摘したのは、今回福島市に現れたクマのリラックスした様子だ。人が近くにいる環境に慣れていることから、一度山に戻っても繰り返し街に降りてくる可能性があるという。
■遭遇したら冷静な対処を
また望月准教授は「例えば出会いがしらでビックリしてしまって、クマのほうが攻撃してしまう。もしくはエサが近くにあって自分のものだと主張するために人間を攻撃してしまう。あとは子どもがいて守るために攻撃をするといったことがある」と話し、もし市街地でクマに遭遇しても冷静に対処することが大切だという。
「遠くにいる場合はゆっくり後ずさりをしながら。特に街中であれば、色々建物等あるので、そういうところにすぐに逃げ込むように」とアドバイスする。
ただ、この時に走って逃げるのはダメだという。「近い距離で出会ってしまったら、防御姿勢と言うものをとってください。頭から首にかけてしっかり手で守って、その場にうずくまる。ダメージを最小限にするという形」と望月准教授は話した。
6月から7月はクマが活発になる繁殖期。特に早朝と夕方の時間帯によく活動するため、複数人で行動することも重要だ。