7月に発表された路線価の上昇率は東京都が最高で前年比8.1%と最高となったが、関東では唯一、群馬が0.1%下落した。富岡市は、世界遺産・富岡製糸場の年間入場者がピークの28%、約36万人に減り、周辺がシャッター街化したことで前年比マイナス2.6%。
一方で、草津温泉は夜の湯畑ライトアップで外国人が急増し、路線価が上昇している。

富岡製糸場の入場者減…市は6年連続地価下落

相続税などの基準となる土地の価格“路線価”が発表された。

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上昇率が最も大きかったのは、東京都の8.1%。インバウンド需要や住宅需要の高まりなどが、路線価を押し上げた。関東のその他の県も、ほぼ上昇している。

そんな中、関東で唯一、0.1%下がったのが群馬県だ。世界遺産の富岡製糸場などがあるのに、一体なぜなのだろうか。

製糸場がある富岡市は2024年より2.6%下がり、6年連続の下落となっている。原因を探るため、取材班は富岡製糸場へ向かった。

取材班:
旧富岡製糸場ですが、平日ということもあってか、お客さんはまばらです。

入場券を買う窓口には、誰もいない時間帯もあった。世界遺産に登録されたのは11年前。当時は、入場者の長い列が道路にまで伸びていた。

世界遺産になった年の年間入場者数は、約133万人。しかし、その後コロナ禍で落ち込み、回復しつつはあるものの、現在は年間約36万人で、ピークの28%に留まっている。

東京から来た観光客:
人が少ない。

東京から来た観光客:
もっと観光地っぽいと思った。

東京から来た観光客:
初めて来たが寂しいな。もう少し人がいるのかなと思った。

世界遺産への登録が決まった当時には、富岡製糸場の側の通りの店が、にぎやかに観光ムードを盛り上げていた。

しかし、今は全く別の雰囲気で、ほとんど営業していないシャッター通りになっている。通りからはにぎわいが消えていた。

地元のタクシー運転手:
(富岡製糸場の)目の前もシャッター街になった。交通の手段が悪いので、観光客が来ても移動できない。

草津温泉は湯畑ライトアップで訪日客急増

一方、同じ群馬県でも路線価が最高の上昇率となった温泉地もある。

2024年度の観光客が過去最多400万人を超えた、群馬県草津温泉だ。路線価は2年連続で上昇した。  

専門家はその理由をこう分析している。

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏:
温泉は強いコンテンツ。外国人観光客を取り込むには、やはり写真映えするスポット。そういうスポットがより注目を集めるのではないかなと思います。

草津温泉では、9年前に夜の湯畑のライトアップをスタートした。この映えスポットが話題となり、若者や外国人観光客が急増したという。

富岡製糸場がある同じ群馬の富岡市も、入場者数の1%に留まっている外国人観光客を狙い、SNSのショート動画を多言語で配信するなどのPR策を検討している。

航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏:
非常にいいコンテンツは持っている。リピーターとして行ってみたいと思うような施策が必要ではないかと思う。
(「イット!」7月4日放送より)

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