食育。生きる上での基本的なものであり、知育・徳育・体育の基礎となるものだ。福岡発の“ヒーロー”が伝授する新しい形の食育が、今、話題となっている。子供はもちろん、忙しい母親も気軽に取り組める内容とは…。

“ヒーロー”の生みの親は福岡市在住

福岡市博多区の保育園で開かれた食育講座。

保育園で開かれた「食育講座」
保育園で開かれた「食育講座」
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園児たちが、食い入るように見つめる紙芝居のキャラクターは、『食育戦隊セブンヒーロー』。SNSのマンガに登場する食育のヒーローで、農水省のホームページでも紹介されている。

筋肉や骨、内臓を作るタンパク質のヒーロー『たんぱくん』に、疲れをとって体の調子を整えるビタミンのヒーロー、『オレンジキッド』など、7つの栄養素がユニークで親しみやすいヒーローになっている。

セブンヒーローの生みの親は、福岡市西区に住む浦川淳さん(53)恵子さん(53)夫妻。「アスラボSmile」を運営している恵子さんは、「私達は、多種多様な食材を使って、丼1杯でもカレー1杯でも人間に必要な7つの栄養素(=セブンヒーロー)が入れば、それでバランスのいい食事になると、熱い思いで伝えている」と活動のへの思いを語る。

セブンヒーローで表現する7つの栄養素とは、タンパク質・糖質・脂質・ビタミン・ミネラル・水分・食物繊維のこと。

これらを詰め込んだメニュー、おすすめは、豚汁だという。「豚肉の脂や旨味が出るので、いろいろな食材を入れても美味しくまとまる凄くいいメニュー。

味噌汁にうちの子は、ゴマを入れる。するとビタミン・ミネラル・食物繊維・タンパク質も上がるから」と恵子さんは日々の食事の大切さを強調する。

キャラクター創作 “夫”が担当

恵子さんが、食育活動を始めたのは9年前。きっかけは、自身の子育てだった。「最初は、野球をしていた息子の体づくりをやりたいと思い、まずは食事からと考えた」と当時を振り返る。

健康栄養学などを学び、食事を変えると、次男の球速が劇的に変わったという。そして、オンラインで食育講座を開く中で、子供が夢中になるキャラクターを作ることを思いつき、絵が上手な夫の淳さんに依頼。

元会社員で、現在、スポーツトレーナーの淳さんは、イラストレーターではないが、次々とキャラクターを生み出していった。

浦川淳さんが制作した「食育セブンヒーロー」
浦川淳さんが制作した「食育セブンヒーロー」

恵子さんから依頼された体中をパトロールする『セブンヒーロー』の他にも、食べ物や体調を表現したキャラクターなど、その数、なんと、約1000体!

この日も淳さんは、何やらイラストを描いていた。「玄米を書いています。この間、京都に行った時に伏見稲荷神社にお稲荷さんというキツネがいて、稲をくわえていた。それと絡めて玄米のキャラクターにしようかと思って」。淳さんは、キャラクターを考え、生み出すことが楽しいと話す。

「笑ってもらえないかなとか、子供たちに何か響かないかな」などと考えながら手を動かすというのだ。

栄養を考え、料理できる子供増やす

食育講座を受講する子供たちには、キャラクターのカードゲームを体験してもらう。

カードゲームは、福岡市内の栄養クリニックの医師が監修したもの。例えば、『カレーを作るのに、どのキャラクターの食材を入れるか?』など。カードを選ぶと、食材を描いたカードのポイントが累計され、どんな栄養価が摂れるカレーになったかが分かるというものだ。

浦川さんが伝える食育の合言葉は、『ス・ゴ・ク・カ・ラ・ダ・ニ・ヤ・サ・シ・イ』。『ス』は、水分や酢。『ゴ』は、ゴマ類など。食べ物の頭文字をとって作った言葉で、これらを毎日食べると、「セブンヒーローが、元気になる」と子供たちに分かりやすく教えている。

「なるべく切らなくていいもの。常温で保存できるもの。腐らないもの。子供でもできることを伝えて、自分で栄養を考え、料理のできる子供を1人でも多く育てたい」と浦川さんは語る。

図鑑やゲームを監修した医師によると、近年、加工食品の普及で、ミネラルやビタミン不足、また、タンパク質不足による細胞の質や働きの低下などが問題となっているという。子供のうちから自分が口に入れる食べものに、どんな効能があるのか。考えながら食す習慣を身につけることは、生涯、健康で暮らすための第一歩だ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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