土地の価値を表す大阪の路線価が発表され、前年から順位を大きく上昇させたのが「森之宮」。
その背景には「キタ・ミナミ」に続く大阪発展のための新たな構想があった。
1日に発表された土地の価値を表す指標、「路線価」。
大阪で最も高かった場所は梅田周辺の「キタ」、そして、心斎橋周辺の「ミナミ」と続きますが、中でも大きく順位を上げたのが…去年から路線価が大きく上昇した大阪の「ヒガシ」森之宮。
今、がぜん注目を集める“森之宮エリア”。
その背景にあるのが…「大阪第三の拠点“ヒガシ”構想」
いったい“ヒガシ”とはどういった場所でなぜ注目を集めているのか。ヒガシエリアの今後の展望と課題に迫る。

■不動産会社によると「森之宮」周辺は土地の価値も上昇している
今、キタ・ミナミに続く大阪第三の拠点として注目を集めている“ヒガシ”エリア。
吉村知事:これまで大阪といえば南北軸が非常に重要な都市づくりでもありました。(今後は)東西軸がより加えて重要な街づくりになると考えているベイエリアがニシの拠点。“ヒガシ”の拠点が大阪城・東部地区だと思っている。
その中心となるのが土地の価値も上昇している「森之宮」周辺。
不動産会社もこのエリアの変化を感じていると話す。
LAKIA不動産京橋店生方昇希副店長:(もともとは)昔の小さな戸建て、伝統の戸建てであったりとか小さな古民家が多いような地域でした」
(Q町の変化感じる?)
LAKIA不動産京橋店生方昇希副店長:感じますね。僕ら仕事がら毎日どんな建物が建つのかとか、新しい物件が出てるか見るんですけど、気がつけば新築がまた出たなっていうのがよく見受けられるんで。
キタやミナミに比べてまだ開発の余地が残っているからこそ注目を集めている“ヒガシ”エリア。価格も上昇傾向だということだ。
LAKIA不動産京橋店生方昇希副店長:だんだん今値段が上がってきてるなって印象ですね。開発は進んでいくのかなというところ。森ノ宮駅も改修工事でJRの環状線の駅も綺麗になったりとか、あとはちょっと歩けばキューズモールのショッピングセンターあるので。

■JR環状線と地下鉄2路線が乗り入れる森ノ宮は人気エリア
“ヒガシ”とは森之宮から京橋にまたがるエリアを指していますが、現在はどういった場所なのか。現地を歩いて調べてみることに。
記者リポート:ヒガシエリアの中心とされる森ノ宮駅からスタートします。JRと大阪メトロが走る駅の近くは、飲食店や商業施設もあり、非常ににぎわっています。
JR環状線と地下鉄2路線が乗り入れる、森ノ宮。若年層にもファミリー層にも人気がある。取材班は、ここから、京橋駅まで北上した。

■大阪公立大学の新キャンパスもことし9月に誕生する
記者リポート:すぐ見えて来たのが、大阪城公園。緑が豊かなのも非常にいいですよね。
それから、公園横をしばらく行くと、大きな建物が見えてきた。
この建物があるのが、ヒガシ発展の大きなカギを握る大阪公立大学の新キャンパス。
およそ6000人の学生と教員が利用する大規模な「学びの拠点」がことし9月に誕生する。

■森之宮と京橋近辺が検車場によって分断
しかし、ここで“ある光景”が気になった。
記者リポート:大阪城公園の近くを北に進んでいるんですけど、反対側に目を向けますと、がらんとしていて、建物も全くない場所です。
目についたのは、大阪メトロの車両整備などを行う検車場。
南北およそ800メートルにわたる広大な土地が広がっていて、人の賑わいを作り出す環境にはなっていない。

■行政サイドも課題ととらえている
そのまま北上し、大阪ビジネスパークを抜けると…
記者リポート:ひたすら歩いてきて、京橋駅に到着。商業施設がたくさんあるので、ひときわ賑わっています。
森ノ宮、大阪城公園、京橋とそれぞれの場所に特色がある一方で、ヒガシの課題として感じたのは、エリア全体の一体感。特に森之宮と京橋近辺が検車場によって分断されている状況になっていた。
この状況は行政サイドも課題ととらえている。
大阪市・横山市長:京橋とOBPと森之宮、メトロ操車場と大阪城周辺の回遊性をあげることが非常に重要。

■検車場に新駅を作ることで新たなにぎわいの創出へ
そういった状況を打開しようと今、進められているのが新駅の計画だ。
エリアの分断を生んでいる感があった検車場に新駅を作って駅ビルやアリーナを建設することで新たな賑わいを生み出すことが期待されている。
今回、特別にその予定地を案内してもらった。
大阪メトロ広報戦略部中辻光春係長:今、電車が向かってる先に現在の森ノ宮駅がある。ちょうどあの抜けてるとこあたりですかね?新駅は大阪公立大学の新キャンパスからもほど近い場所にでき、多くの利用者が見込まれます。新駅を設置することによって、(大阪の)東西軸の強化をしまして、東の拠点として発展することに寄与したい。
新駅の工事は万博終了後に始まり、2028年春ごろの開業を目指している。

■大阪の都市開発に詳しい専門家はヒガシエリアについて「非常に高いポテンシャル」
大阪公立大の新キャンパスに新駅の開業と、開発が進むヒガシエリアの将来について大阪の都市開発に詳しい専門家は…。
ジョーンズラングラサール山口武さん:(大阪に)街が一変するような場所はほとんどなくなってきていますから、最後というか非常に有望な事業用地ではないかと非常に高いポテンシャルを持っていると思います。
一方で「ヒガシ」が成功するためのカギについては…
ジョーンズラングラサール山口武さん:いわゆる繁華性が梅田やミナミのような非常に賑わいのあるような街では現状ありませんし、そういう街を目指す必要もないと思うむしろそうでないところを強みにするような…キタとミナミとは違う街をいかに独自カラーを形成できるかが成否のカギだと思う。
「きょうはヒガシに行こう!」こういった日はくるのか?「ヒガシ」の行く末に注目だ。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年7月1日放送)
