巨額の不正融資が明らかになった「いわき信用組合」は、旧経営陣への責任追及などを盛り込んだ業務改善計画書を東北財務局に提出した。
■巨額な不正融資で業務改善命令
第三者委員会の調査で、ペーパーカンパニーを通じた“迂回融資”や、預金者の名義を勝手に使い開設した口座を通じた“無断借名融資”で、少なくとも247億の不正融資をしていたことが明らかになった「いわき信用組合」。
一連の不祥事を受けて、東北財務局は2025年5月にいわき信用組合に対し、『責任追及を含む経営責任の明確化』『法令遵守態勢の確立』『監査機能の実効性の確保』などを求め、業務改善命令を出した。
■旧経営陣へ損害賠償請求と刑事告訴
6月30日が計画書の提出期限となっていて、いわき信用組合は提出した計画書の中で、責任追及として不祥事に関与していた旧経営陣に対して損害賠償請求と刑事告訴。支給済みの退任慰労金全額の返還を求める方針を示した。
また有識者による経営状況の検証と評価。企業風土の改善と専門家による調査を継続し不祥事の全容解明に向けて取り組むなどとしている。
■当時声をあげていれば…
「本部からの依頼があっての融資だから、何も言わずにやってくれといったような内容だったと思う」こう話すのはいわき信用組合に勤めていた男性。不正融資に関わる資料作成を、当時の上司に指示されたという。
「当時、何か声を上げていれば、もしかしたら状況は変わったかもしれませんが、当時はそういった決断、何か物申す勇気もなかった」と語る。
失った信頼をどう回復させていくか?企業風土が改善され、地域の中小企業を支える金融機関であることを期待しているという。
「企業全体として変わったところを示していただいて、全員が同じ方向性を向いた時に、初めてリスタートと言えるのかなと思います」と話した。
東北財務局は、改善計画の提出を受けて「組合の各種態勢や組織風土の見直しが十分かつ適切なものであるかをしっかり確認するとともに、計画に基づく経営改善の進捗や実効性を厳しく検証していきたいと考えている」としている。
今後は、いわき信用組合に3カ月ごとに業務改善計画の進捗を報告させることにしている。