新人の出町譲さんが初当選を果たした高岡市長選挙について、取材を担当した福島記者と今回の選挙結果について分析していきます。

今回、42歳の若い現職が1期で敗れるという波乱の選挙結果となりました。

現職の角田候補は自民、公明、連合富山の推薦を得て、圧倒的な組織力を生かした選挙戦を展開しました。

大きなやぐらで「負けるはずがない」という危機感の欠如が選挙戦の出遅れにつながり、また、被災地の住民の震災対応への不安や不満など有権者に広まっていた批判を払拭できないまま、実績や今後のビジョンも届けられなかったのが角田さんの最大の敗因です。
 
また、高岡市議会初の女性議長を務めた新人の中川さんの戦いはどうでしたか。

3期にわたる市議の経験から、角田市政が期待外れと訴え、現職の批判票を取り込もうとしましたが支持は広がりませんでした。

これに対し、市長選2回目の挑戦となった出町さんは、4年前の落選以降、市議として200回を超える対話集会や1000回を超える街頭活動を地道に続けてきたことが功を奏しました。

市民の声を聞く姿勢が有権者に定着していたことに加え、市民の力で市政を刷新しようと市民参加による選挙戦を展開したことで、角田さんの批判票を圧倒的に集める結果となりました。

その有権者の支持状況、どんな特徴がありましたか。

はい、BBTは投票日のきのう投票所で出口調査を行い、601人から回答いただきました。

角田さんを推薦した自民党と公明党の支持層ですが、角田さんと同じ47%が出町さん、6%が中川さんに投票したと答え、半数以上が推薦候補以外に流れています。

有権者の半数近くを占める無党派層の6割が出町さんを支持していました。

今回の選挙は能登半島地震からの復旧復興も争点とされましたが液状化の被害が出た伏木、吉久、横田地区では、過半数を出町さんが抑えていますが、実は、他の地区に比べて出町さんへの支持が多いということはありませんでした。

投票率も他の地区と同様の水準でした。

一方、出町さんや中川さんが用途が決まっていないことなどを理由に問題視していたあいの風鉄道高岡駅前のダイエー跡地がある下関地区ですが、こちらは中川さんへの支持が他の地区に比べて広がっている特徴がありました。
   
そうした地区別の特性も多少、ありましたが、全体では出町さんが支持を広げ、投票数の過半数を超える57パーセントの得票につながりました。

高岡市政の今後ですが先ほどの中継でもありました市議会との向き合い方、難しさが横たわりますね。

はい、こちらは高岡市議会の会派別の構成です。

出町さんが所属していた会派は、現在1人、自民党の最大会派未来創政会を含む22人中20人が今回の選挙で、角田さんを支援していましたから、出町新市長にとっては市議会からの理解をどう得ていくかが当面の課題となります。

市議会にとってもこれまでの対応が一変する事態に薮中議長は29日夜、出町さんの事務所でこう述べました。

*出町陣営に当選祝いに訪れた 高岡市議会 藪中一夫議長
「高岡市民の皆さんは『チェンジ』を選んだ。議会として新しく市長になった出町譲さんとともに車の両輪としてしっかりと高岡市政にお返ししていきたい」

*高岡市議会 最大会派 未来創政会(自民党)会長 金森一郎市議
「議員は議員で議員同士の話もある。これまで一緒に話に乗ってこなかった人がトップに立った。我々としてもどうするのかというのは少し考えたい。お互いの歩み寄りは必要。これから様子を見たい」

今年10月には任期満了に伴う市議会議員の選挙もあり、出町新市長がどんなスタンスで議会と向き合っていくのか今後の焦点の一つとなります。

そして、来月3日に公示される参院選には今回の選挙結果がどんな影響を及ぼしそうですか。

はい、影響を図るうえでの一つの見方が今回、自民党が推薦した角田さんが落選したという事実です。

高岡市長選で自民党は前回に続き2連敗となります。

自民党高岡市連の支部長、山本徹県議は高岡市長選は、あくまで角田市長からの申請を受けて推薦したもので、自民党として擁立した候補ではないと強調しつつ、少なからず、影響はあるとの見方を示しています。

*自民党高岡市連 支部長 山本徹県議
「『党をあげてやって党がまずかったから選挙に負けた』ということにはならない。自民党高岡市連としても高岡の一地方議員としても短い時間かもしれないが立て直しをして参院選に臨んでいきたい」

また、自民党の高岡市を含む第3選挙区支部の支部長で県連会長の橘慶一郎衆院議員は30日、電話でこのように答えました。

*自民党県連 会長 橘慶一郎衆院議員 
「推薦をして、みんなで一緒に戦ったので残念。市民の審判を重く受け止めて高岡市の発展のために、みんなで頑張っていかなければいけない(Q参院選への影)選挙の構図や候補者も違うので参院選は参院選でしっかり全県的に戦いたい」

29日の出口調査で高岡市の自民党支持層は3割でした。

普段から自民党を支持する層の意識に変化はあるのか、また、それ以外の有権者はどう考えるのか、ただでさえ、裏金問題などで自民党への逆風が吹く中、まもなく公示される参院選への影響はあると思います。

そして、それを決めるのは市長選挙同様、高岡の有権者です。

今回の選挙で問われたのは自らの未来を託す市長を選ぶ有権者の選択です。

今後は、市民の力で選ばれた出町新市長の手腕が問われることになります。

出町新市長の任期は来月12日から4年間です。

ここまで、29日投開票が行われた高岡市長選挙についてお伝えしました。

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。