新型コロナの影響で、前期は多くの大学が「対面授業」をやめ、オンラインなどの「遠隔授業」のみ行った。
そのため、入学後1度も大学に行っていないという学生が数多くいる。
関西では9月に、「遠隔授業の質が学費に見合わない」として、学生たちが学費の減額を求める嘆願書を大学側に提出した。

9月中旬、福岡県内では多くの大学で後期の授業がスタートした。
はたして学生たちは、今どんな状況なのか。

一部を対面に戻すも…8割は遠隔授業

後期の授業がスタートした九州産業大学。10学部22学科の1万1,000人を超える学生が在籍している。
教室では、生命科学部の学生が対面授業を受けていた。
この大学では、感染対策を徹底したうえで、後期からは授業の一部を対面に戻した。

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九州産業大学生命科学部2年・川平悠莉さん:
前期は全部遠隔だったが、後期は週3回学校に来られるようになったのでうれしい。家で授業を受けるのとは集中力が違うので、やはり学校の方がいい

とはいえ、対面授業はまだ全体の2割ほど。残りの8割は遠隔授業だ。
時間割には「対面」と「遠隔」が混在しているため、学内のパソコンから遠隔授業に参加する学生も。

九州産業大学教務部・伊東真比呂教務課長:
学生によっては1時間目は対面、2時間目は遠隔という人もいますので、学内の施設を開放しています。学生に少しでも多く学校に来てもらえるよう、できるだけ感染対策をとりながら、対面授業を実施している状況です

半年遅れで入寮も、留学生とは…

一方、こちらは福岡女子大学。
「国際感覚を備えた女性リーダーの育成」を教育理念とし、19の国や地域の30の大学と交流協定を結んで、積極的に外国人留学生を受け入れてきた。

大学の1番の魅力を学生に聞いてみると…。

福岡女子大学国際文理学部2年・盛利香子さん:
国際交流に興味があって、1年間留学生と一緒に寮生活ができるのが魅力。アイスランドの留学生とベトナム人の留学生とその国の料理を作ったりとか、そういう交流をした

入学後1年間は全寮制で、本来なら留学生と生活を共にしていた。
しかし、2020年は留学生だけでなく、日本人学生も入寮できない。
大学は、協議を重ねた結果、後期から寮の受け入れを再開することを決断。
そしてようやく9月、半年遅れで新入生たちが入寮したのだ。

入寮した学生:
不安な気持ちが大きかったので、寮に入れると知ったときはうれしかった

入寮した学生:
寮を楽しみにしてこの大学を選んだというのもあるので、入寮して、福岡女子大に来たんだなという実感がありました

寮の受け入れ再開について、学長は…

福岡女子大学・梶山千里学長:
1年間学校に来られないというのは異常。前期は社会の要請もあって動けなかったが、後期は自由になっているからやれるのであればやろうと

現在、実験や実習など一部を対面で行っているこちらの大学。
寮での共同生活はかなっていないが、授業には母国にいる留学生もオンラインで参加していた。
大学では、後期の対面授業を全体の4割ほどにまで増やしたいとしている。

「普通の大学生の生活がしたい」

9月15日、文部科学省は「全国の大学などの後期授業の形式について」調査結果を発表。
それによると、後期に全面的に対面授業を実施すると答えた大学は全体の2割ほどで、「対面」と「遠隔」を併用すると回答した大学が8割を占めている。

大学1年の近喰克海さん。彼の大学でも後期の授業が始まったが、フランス語の授業は自宅からスマートフォンで受けていた。

福岡市内に住む大学1年・近喰克海さん:
授業を受けづらいですけど、パソコンを持っていない人とかは携帯になってしまいますね

県内の大学に進学するため、半年前に大阪から福岡へ。
前期は1度も大学で授業を受けられず、精神的につらかったという。

福岡市内に住む大学1年・近喰克海さん:
ひたすら1人で家にこもっていた。オンライン授業では友達もできないし、情報交換ができないのがつらかった

後期は学校に行く機会が増えるのではと期待していたが、結局、対面で授業を受けられるのは週に1回の1授業のみ。

福岡市内に住む大学1年・近喰克海さん:
週1回学校に行くという謎な感じで複雑。普通の大学生の生活がしたい。それが今の願いですね

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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