富山刑務所で受刑者向けに毎月放送されているラジオ番組が放送500回を迎えました。
メインパーソナリティーは84歳の男性。
受刑者に語りかけてきた日々を振り返りました。
富山刑務所で月に一度、最終月曜日の午後7時30分から放送されている「730（ななさんまる）ナイトアワー」。
45年間メインパーソナリティーを務めてきた「方丈豊」こと川越恒豊さん84歳です。
方丈さんは富山市の中心部で600年以上続く清源禅寺の住職です。
37歳のとき民放のラジオパーソナリティに抜擢されその軽妙なトークで一躍人気となりました。
そして刑務所の担当者から声がかかり昭和54年12月日本初の受刑者参加型ラジオ番組が誕生しました。
＊メインパーソナリティー 川越恒豊さん
「本当のこと言うと、相手が受刑者だと。（当時は）歳も若いし、今は何でも言えるけど、生意気になんでも言えるかなと。再犯の進んでいる者が入っているわけだから、それに対応するような言葉遣いとか、どうすればいいか迷いばかり」
富山刑務所には薬物所持や窃盗の再犯者が多く収容されています。
しかし、番組では罪をとがめるようなことは口にせず、心を通わせることを大切にしてきました。
＊メインパーソナリティー 川越恒豊さん
「柔和性を持ってね。この気持ちよく分かるとかさ、どこか200文字の中で本音が書いてあるところがある。その本音の部分を抜き取って。共鳴・共感というのを絶えず頭の中に入れて使う」
＊メインパーソナリティー 川越恒豊さん
「こんばんは。DJの先生方、今回で730リクエストアワーが500回記念の聞きビックリしています」
500回目の収録が始まりました。
今回のテーマは「私の応援ソング」受刑者からのリクエスト曲やメッセージが寄せられます。
＊メインパーソナリティー 川越恒豊さん
「この曲はラグビーで日本がW杯に出場したときの応援ソングでした。私の帰り待ってくれている家族のために無事受刑生活を終えたいのでリクエストお願いします」
月に一度、およそ45年間に渡って刑務所で語り続けた日々。
報われたと感じたことがありました。
＊メインパーソナリティー 川越恒豊さん
「年賀状に元気でやってますと来ることがある。子どもがおかげ様で大きくなりましたと。子どもが補助輪なしで（自転車で）走っていた。そのときに自分はこの状態だったんだと。いつの間にか補助輪が外れて、その補助輪は先生が補助輪を外してくれたんだと。年賀状に書いてくれて涙が出た。」
500回目の番組の収録をおえ、方丈さんを含む4人のパーソナリティに富山刑務所から感謝状が贈られました。
＊メインパーソナリティー 川越恒豊さん
「どうしても人間は認めてもらおうという気持ちが大いにある。投げかけられたものを受け止めて心の中をかいくぐることを中心にこだわるだけではないがそれが1番大切だと思う」
放送500回記念を迎えた刑務所ラジオ。
84歳のパーソナリティーが塀の中のリスナーに寄り添い続けます。
