この事件を巡っては、事件から7年経った今も裁判が続いています。
遺族の思いを取材しました。
*中村信一さんの妻
「7年経ったから、気持ちが少しずつ楽になっているとかは一切ない。死ぬまでこの傷を引きずっていかないといけない。わりに合わない。同等の時間を苦しんでほしい」
こう話すのは、小学校で警備をしていたところ拳銃で撃たれ死亡した中村信一さん(当時68)の妻です。
法廷で黙秘を貫く島津被告。
中村さんの妻は、「自ら事件について語ってほしい」と望み続けています。
*中村信一さんの妻
「今会って何かを聞きたいというよりはとにかく彼と話したい。最近、どんな生活をしているのか、外ではこういうことがあったんだよと、たわいない話でもいいので会話をしたい」
この事件を巡っては刑事と民事の2つの裁判が進んでいます。
2021年に開かれた刑事裁判の第一審。
強盗殺人などの罪に問われる島津被告に対し、検察は死刑を求刑しましたが、富山地裁は「拳銃を奪う意思が殺害後に生じた可能性を排斥できない」として「殺人と窃盗罪」の適用にとどまると判断し、無期懲役の判決を言い渡しました。
これに対し二審では、「一審判決は事実誤認で、強盗殺人罪の適用を前提に量刑を判断すべき」と一審の判決を破棄。
これを不服として島津被告の弁護側は最高裁判所へ上告していましたが、去年3月、最高裁はこれを棄却し、裁判は再び富山地裁で、やり直されることが決まっています。
しかし、いつ差し戻し審が始まるか見通しは立っていません。
*中村信一さんの妻
「島津と何かしらの形でやりとりをしたい、民事裁判が終わったので刑事裁判が遅いのもチャンス」
一方の民事訴訟では、中村さんの妻が事件発生時の県警の初動対応の不備を訴え損害賠償を求めています。
中村さんの妻は、証言台で「警察官が避難を呼びかけていれば主人は死なずに済んだと思う」と語り、今月9日、結審しました。
この民事訴訟の中で中村さんの妻がこだわっていたことがあります。
*リポート
「当時、現場付近を通った車の映像には向こうの小学校に向かった銃を構える島津被告の姿があったといいます」
事件の様子を捉えたドライブレコーダーの映像と、通報者と県警の通信指令官のやりとりを録音したデータです。
中村さんの妻は法廷での再生を求めていましたが、却下されました。
*中村信一さんの妻
「一緒に見たら、本当に初動体制はめちゃめちゃだったというのが分かる。ただの交番襲撃事件だけではなく、警察の不備な初動対応があった事件。安心安全を警察にゆだねている県民には重要。」
事件から7年。
中村さんの妻は島津被告自身が語る言葉を待ち続けています。
*中村信一さんの妻
「しゃべることは期待していない。ただ、何か望むことがあるかと言われれば、心からの謝罪の言葉を言ってもらえれば一番うれしい」