岩手県大船渡市の大規模な山林火災は発生から6月26日で4カ月です。
観光面でも影響が続くなか、大船渡市内では宿泊料金を割り引く「復興割」が6月29日から始まることになり期待がかけられています。

大船渡市で2月に発生した大規模な山林火災は、樹木や建物が焼けただけではなく宿泊業を含む商工観光関係も大きな影響を受けていて、市のまとめによると6月10日時点の被害額は3億円余りに上っています。

三陸町綾里の宿泊施設・廣洋館の館主の熊谷立志さんは「(火災発生当時)ここの裏山にずっと火がついていった」と山林火災の様子を説明します。

廣洋館では火災による建物への被害はありませんでしたが、立地場所が避難指示の対象になったことで一時休業を余儀なくされました。
予約のキャンセルが相次ぎ、約800万円の損失が出たといいます。

4月の営業再開後も客足は十分には戻っていないといい、ジャズ喫茶など独自のイベントを開くなどして集客を図っています。

廣洋館 館主 熊谷立志さん
「(建物が)なくなったり燃えてしまったりするのはひどいけれども、間接的に被害があったのは、どうにもならない。自分たちでなんとかするしかない」

観光面での復興を後押ししようと、大船渡市では新たな支援策を打ち出しました。
宿泊料金を補助する「大船渡復興割」です。

大船渡市 観光交流推進室 古内弘一次長
「火災が鎮火して受け入れ態勢はしっかり整っている。それで『大船渡復興割』の事業に至った」

この「復興割」は市内16カ所の旅館やホテルの宿泊料金を1人につき最大3000円割り引きし、それを市が補助する仕組みとなっています。

大船渡市 観光交流推進室 古内弘一次長
「大船渡市に足を運んでもらうことで地域経済や市民の活力の向上にも寄与することができる」

復興割は主に平日の利用を増やすことが目的で、金曜日・土曜日などの宿泊や大船渡市民の宿泊は対象になりませんが、廣洋館でもこの制度を活用した予約が入っていて、今後の効果の広がりを期待しています。

廣洋館 館主 熊谷立志さん
「(復興割で)とにかく元気にやっているというフレーズが広がれば変わる。平日などの限定にはなるが(宿泊に)来ていただければ」

また宿泊客には市内312店舗で使える1000円分のクーポンが配布されることになっていて、商店街からも期待の声が聞かれます。

生花店「加茂ガーデン」 志田英恵取締役
「(火災)当時は外出の機会が減っていた。まちを盛り上げるためにも、このような企画は商店街としてうれしい限り」

この復興割は6月29日の宿泊から利用できます。

市によると、復興割の事業費は県の助成を含めて4400万円で、この財源がなくなり次第終了するということです。

岩手めんこいテレビ
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