6月21日から続いている、鹿児島県トカラ列島近海の地震。
発生から5日で、震度1以上の揺れの回数が400回を超え、2年前と4年前にも相次いだ群発地震の回数を既に上回っています。

25日午後2時47分に震度3を観測する地震のあった、鹿児島県十島村の悪石島。

島唯一の学校に勤める小窪教頭によると、地震があったのはちょうど授業をしている時間だったといいます。

十島村立悪石島学園 小窪卓也 教頭:
ちょうど授業中でした。教室に行って子供たちの様子を確認したところ、子供たちはみんなヘルメットをかぶっていまして。大きな揺れがきて怖かったという声はありました。
昼夜問わず地震が来るので、多くの子供たちが夜中の大きな揺れで目が覚めたとか、怖くて夜眠れないとか、一睡もできなかったっていう子もいたりするので、精神的にも疲弊してきているなという子供たちは出てきている。

現在、学校には小・中学生にあたる、合わせて14人の子供たちが在籍しており、その中には、留学制度で本土から来ている子もいます。
経験したことがないほどの揺れの多さに、不安を口にする子も…。

留学制度で本土から来た子供:
(眠れていないので)眠いです…。急に(揺れが)来ると、ビクッとします。
長年、島で暮らし、多くの揺れを経験してきた住民でも、警戒を強めているという今回の地震。さらに、大きな恐怖を感じる瞬間があるといいます。

十島村立悪石島学園 小窪卓也 教頭:
緊急地震速報のアラートが鳴り始める前に揺れが来るんですね。心構えがない状態で、いきなり強い揺れが来る。
授業が終わった直後に(アラートが)鳴ったというのが、きのう1回ありまして。(地震の)その後アラートが鳴り出したので。もっと大きな地震が来るのかというので子供たちは怖くなって、固まってしまって動けなくなった。
1日も早く、安心して平常通りの学校生活が送れる状況というのを取り戻せることを、心から祈っているところです。

気象台は、住民に対し、備蓄や非常持ち出し品の準備、家の中の物が落ちたり、倒れてきたりしないスペースを確保するなど、日頃からの備えを呼びかけています。
南海トラフとの関係は?巨大地震の前兆?
22日、23日には100回を超える揺れが発生するなど、収まる様子をみせないトカラ列島近海の地震。不安視される「南海トラフ地震」と関係はあるのでしょうか。

東京大学地震研究所 青木陽介 准教授:
基本的にはないと思います。トカラ列島の地震はかなり大きな揺れはあるものの、マグニチュードは5くらいで、南海トラフに何らかの影響を及ぼすほど大きいものではないですから。
(理由としては)地震の大きさと、南海トラフとの距離、それが一番大きな要素ですね。

――地震が頻発していますが、これは巨大地震の前兆?それとも頻発した方が大きな地震は来ない?
これはどちらとも言えなくて、群発地震が起きるときは、ものすごい大きな地震はこないというのが一般的な見方なんですが、火山性ではないですが同じように群発地震が続いていた能登半島では去年の1月1日に大きな地震が来てしまいましたので、そういう意味で、大きい地震が来ないとは確信を持っては言えないんです。

――いつ落ち着くかもわからない?
これまでの(群発地震があった)経緯を考えますと、落ち着くまでには数週間くらいかなと。
今回の一番の問題は、海で起きているということなんです。衛星から地殻変動を詳細に捉えることはできるようになったのですが、衛星から発せられる電波は海を通れませんので、そういう意味で海底での観測は今でも難しいです。
――津波のリスクは?
あります。というのは、海底火山が原因だと思われますので、もしこれが噴火するということがありますと、海底で海の海水を動かしますので、それが津波を引き起こすことはあり得ます。
――私たちは日頃からどのような備えが必要でしょうか?
基本的に何日かを生き延びるための、水や食べ物、あとはトイレとか、そういう基本的なものを日頃から用意しておくと、何かあってから用意するのではなく、何もないときに準備するのが大事です。
(「サン!シャイン」 6月26日放送)