モバイルバッテリーやスマートフォンなど、リチウムイオン電池が使われている製品について、NITE(製品評価技術基盤機構)は26日、夏場に火災などの事故が増加傾向にあるとして注意喚起を行った。
NITEによると、2024年までの5年間にNITEに報告のあった「リチウム電池搭載製品」の事故は1860件あり、年々増加傾向にあるほか、事故の8割以上(1587件)が火災事故に至っている。

製品別では、モバイルバッテリーの事故が最も多く、2024年は2022年と比べ2倍以上に増加している。
増加の背景は、新型コロナが5類に移行して外出の自由度が増し、外出時に持ち歩く機会が増えたことや、防災用品としてのニーズの高まりなどとみられている。
また月別の事故の件数と、東京都の過去5年の平均気温の推移を比較すると、気温の上昇とともに事故の件数は増加し、8月にピークを迎えている。

NITEは、リチウムイオン電池が高温環境にさらされることで、電池内部の温度が上昇し、異常発熱や発火などのリスクが高まるためと考えられるとしている。
2023年8月には、高温の車内にモバイルバッテリーを放置したことで火災に至った事例のほか、2021年9月には、膨張したモバイルバッテリーを押し込んで元に戻そうとしたところ、異常発熱が起き、発火する事例なども起きている。
NITEは、事故を防ぐポイントとして以下の3つを挙げている。
(1)正しく購入する・不具合や事故発生後に補償を受けられないなどの事態が起きているため、連絡先が確かなメーカーから購入する。
・リコール対象でないことを確認する。リコール対象製品を持っている場合、不具合がなくても直ちに使用をやめて、販売店などに相談する。
・安価で入手しやすい「非純正バッテリー」で火災事故が多く発生しているため注意する。

(2)正しく使用する・高温下に放置しない。リチウムイオン電池は高温下で発熱や破裂、発火するおそれがあるため。
・強い衝撃を与えない。リチウムイオン電池は地面に落としたり無理な力を加えるなど、外部から衝撃が加わると、内部ショートが生じて発煙や発火につながる。

(3)正しく対処する・充電や使用時は異常(充電できない・充電時に熱くなる・膨らんで変形するなど)を感じたらすぐに充電、使用を中止する。
・万が一発火した場合、大量の水で消火し、可能なかぎり水没させた状態で119番通報する。もし対処が困難な場合は、身の安全の確保を優先する。