コメの高騰が社会問題となる中、新潟県内でコメ農家などによるデモ行進が行われた。集まった農家は、高齢化や担い手不足といった厳しい現状を訴え、日本有数のコメどころから持続可能な農業の実現を訴えた。

米どころ新潟で“令和の百姓一揆”

「一揆一揆、百姓一揆」

新潟県長岡市などで行われたコメ農家などによるデモ行進。“令和の百姓一揆”と題されたデモの背景には、コメ農家が置かれる厳しい現状がある。

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農林水産省によると、コメの価格は減少傾向が続き、23年産を見ると30年前から60kg当たり1万円近く下落。

コメ不足を受け、24年産は平均の相対取引価格が2万4500円まで高騰したが、農業関係者は「ほかの物価が上がっている。見た目だけが大きくなって見えるけど、元に戻っただけ」と口にする。

厳しい経営に高齢化…生産そのものが危うい状況に

令和の百姓一揆実施に向け、5月に行われていた打ち合わせでもコメの価格、そして農業経営の厳しさが話題に。

令和の百姓一揆に向け打ち合わせ
令和の百姓一揆に向け打ち合わせ

実行委員会の堀保夫さんは「トラクター・田植え機・コンバイン、あるいは肥料・農薬が簡単に言うと倍の値段になっている。決して農家は今のように高ければいいとは全然思っていない。要は再生産ができる価格」と話す。

さらに、コメ農家の数も2000年から20年間で半数以下に減り、年齢構成も60代以上が約9割にのぼっている。

農家の堀井修さんは「高齢者が時給10円というボランティアの精神で田んぼを耕している。残されている時間は5年もない。その後、誰がコメを作るのか」と将来を不安視する。

スーパーの棚が空になり、政府の備蓄米に人が殺到するなどコメが求められているが、このままでは生産そのものが危うい状況に。

コメに関心が集まる今こそ、所得補償など持続可能な農業の実現を訴えようと、実行委員会は県内各地から軽トラックやトラクターを集め、デモ行進をすることを発案した。

堀井さんは「現状は大変な状況にあるんだというのを、自分事として考えていただくことがこれから重要になる」と意気込む。

コメを次の世代へ!デモ行進で農業経営の窮状訴える

そして迎えたデモ決行の日。県内7か所からそれぞれ長岡市を目指す隊列には多くの農家が参加していた。

長岡市に向かう途中で集会も
長岡市に向かう途中で集会も

三条市のコメ農家は「やっぱり今の怒り。皆さんに知ってほしいし、農家だけではなく消費者の問題でもあるので」と話し、小千谷市のコメ農家は「新潟県は日本一の生産量なので、インパクトはあると思う」と話す。

道すがら、農家たちは各地で集会を開き、訴えを広げていく。

上越市のコメ農家はマイクを握り、「『最近米価もいいから、これで担い手も増えたらいいね』なんて。何を言っているのかと、次に米価が下がったら農家がいなくなってしまう」と声を大にする。

そして午後2時。集合場所には雨にも関わらず、300人近くが集まり、行進がスタート。

令和の百姓一揆
令和の百姓一揆

「限界を超えている農家を守ろう」

8台のトラクター、35台の軽トラックが集結し、農業経営の窮状を訴えた。

参加した農家からは「聞いてくれた人はいたし、色んな方が車の中から手を振ってくれた」「届くか届かないか、2つに1つじゃないと思う。やればやるほど届くと思う」などの声が聞かれた。

また、日本の主食であるコメを次の世代につなげるために親子で参加した農家の姿も見られた。

どのように農業を持続可能にしていくのか、真剣な議論が求められる。

(NST新潟総合テレビ)

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