プレスリリース配信元:アドベンチャーワールド
新たに「環境DNA調査」も開始
ジャイアントパンダ
アオリイカ産卵床の設置
アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)は、ジャイアントパンダが食べ残した竹をアップサイクルし、アオリイカの産卵床として海に設置する活動を今年も継続します。今年で4年目を迎える本活動では、6月18日(水)に白浜町日置川エリアの伊古木漁港に30基を、さらに7月3日(木)には初の試みとして大阪府岸和田市の漁港にも30基を設置する予定です。また今シーズンからは、海中の生物多様性を科学的に捉える新たな試みとして「環境DNA調査」も導入し、設置による海の生態系変化を可視化・検証していきます。
なお、6月28日(土)には4頭のジャイアントパンダが中国へ帰国しますが、「パンダバンブープロジェクト」はこれからも続いていきます。この活動は、パンダが食べなかった竹に新たな役割を見出したことから始まりました。その背景には、各地で増え続ける放置竹林という社会課題があります。私たちは、竹という資源を通じて自然とのつながりを育み、森や海の生物多様性の保全へとつなげていくこの取り組みを、今後も大切に継続していきます。
【2025年度シーズンの主な取組】
1.アオリイカ産卵床の設置
パンダが食べ残した竹(孟宗竹や矢竹)を束ね、海底に沈めてアオリイカの産卵床として活用します。
・6月18日(水)
白浜町伊古木漁港へ30基を設置予定です。
・7月3日(木)
パンダたちの食事となる竹を調達している岸和田市で、今回初めて岸和田市内の漁港へ30基を設置予定です。
2.定期的なモニタリングとサンプリング
7月以降、産卵の有無や付着生物確認のため、ダイビングによる定期調査と竹のサンプリング調査を実施します。
3.卵塊の展示と孵化記録
産卵が確認された場合は、京都大学白浜水族館と連携し、採集した卵塊を展示・孵化させる取り組みを継続し、孵化した稚イカは海へ放流します。
4.新たな試み:環境DNA調査
今シーズンから、京都大学による環境DNA調査(eDNA調査)を新たに導入します。
これは、海中に漂う生物由来のDNAを水から採取・解析することで、人が近付くと逃げてしまい、潜水調査でも種類や数を確認しにくいアオリイカやその他魚類の存在や個体数の変化を把握する先端的な調査手法です。設置前後で海の生物相がどう変化したのか、科学的に検証します。
【活動の背景】
近年、海水温の上昇や藻類を食べる生物の分布拡大により白浜の海の生態系が変化し、アオリイカの産卵場所となる海藻類が減少しています。一方、里山では放置竹林の増加が問題となっており、適切な管理が求められています。アドベンチャーワールドでは、こうした竹を伐採してパンダの食事として活用してきましたが、パンダは竹の新鮮な枝葉の一部しか食べず、幹や摂餌後の枝葉は大量に残ります。そこで、食べ残した竹を束ねて海底に 沈めることで、アオリイカの産卵床や小型生物の生育基盤として活用する取り組みを2022年より開始しました。この活動は、自然環境の保全と地域社会の連携を強化するプロジェクトとして、継続的に進めています。
【共催】
白浜町、岸和田市、京都大学瀬戸臨海実験所
【協力】
アオリコミュニティ、大阪府漁業協同組合連合会、きしわだ自然資料館、岸和田市教育委員会、岸和田市立修斉小学校、株式会社 恭兵船舶、小出渡船、トライブダイビングスクール、ヒロメラボ、和歌山南漁業協同組合(五十音順)
※アオリコミュニティ(YAMARIA)について
「アオリイカ釣り」を、釣り人の皆様に末永く楽しんで頂く為に、「YAMASHITA」が2006年から取り組むアオリイカ産卵床設置支援プロジェクト“アオリコミュニティ”はアオリイカ資源を増やし、アオリイカ釣りを楽しめる環境維持を目的に全国各地のアオリイカ産卵床設置事業のサポートを行っています。今回、アオリコミュニティさまの支援を受け活動いたします。
【昨シーズン(2024年)活動の成果】
1.アオリイカの産卵成功と孵化
・設置した64基の大半にアオリイカの産卵を確認
・京都大学白浜水族館で展示した卵から、2,641匹の稚イカが孵化し、放流
竹に産み付けられたアオリイカの卵塊
京都大学白浜水族館での展示
水槽内で孵化した稚イカたち
2.沿岸生態系への貢献
・竹に着生した海藻類
シワヤハズ、タマイタダキなどの海藻類が確認され、海藻の成長基盤となることを確認
・付着生物
甲殻類(ワレカラ、フジツボ)、ゴカイ類、巻貝類の卵塊などが竹に付着していることを確認
・生態系の回復の兆し
海藻の増加 → 小型生物の生息数増加 → 生物多様性の向上が期待される
竹に着生した褐藻類のシワヤハズ
紅藻類のタマイタダキ
集まる巻貝のマガキガイ
サンプリングした竹に付着したマクロベントス(底生生物)たち
ワレカラ亜目
ミズヒキゴカイ科
ウズマキゴカイ科
フジツボ類
3.普及活動の成果
・京都大学白浜水族館での展示期間中には、延べ19,281人が来館し、多くの方々が活動に触れる機会となりました。
・また、白浜町立日置中学校の生徒や、岸和田市立修斉小学校・白浜町立富田小学校の児童も産卵床の製作と設置体験に参加し、沿岸環境への理解を深める貴重な学びの場となりました。
【今後の展望】
近年の研究では、磯焼けの原因とされる藻類食性魚類の稚魚をアオリイカが捕食することが報告されています。アオリイカの産卵が確認されたことで、将来的にはこの生態系のつながりが作用し、海藻の減少を抑える一助となる可能性も考えられます。また、竹が海中で徐々に分解される過程で、その堆積物を餌とする巻貝が集まっている様子も確認されました。これにより、竹が小型の生物の一時的な生息基盤として機能するだけでなく、分解された有機物が、海の栄養循環にも影響を与える可能性が考えられます。今後も調査を続け、竹を活用した生態系回復の可能性をさらに探求していきます。また、地域住民や漁業関係者との連携を深め、里山と里海をつなぐ新たな環境保全モデルの確立を目指してまいります。
【パンダバンブープロジェクトについて】https://www.ms-aws.com/vision/sustainability/policy02/
里山を荒廃させる竹を伐採し、ジャイアントパンダの食事として活用することで里山の環境を守り、これまで廃棄していたジャイアントパンダが食べない竹の幹の部分や食べ残した竹、糞を有効資源としてアップサイクルを推進するプロジェクトです。
【アドベンチャーワールド「SDGs宣言・パークポリシー」】
https://www.aws-s.com/parktheme-sdgs
アドベンチャーワールドは、「いのちを見つめ、問い続ける。いのちの美しさに気づく場所。」として、すべての生命にSmile(しあわせ)が溢れる豊かな未来の地球の姿をパークで体現します。パークという”小さな地球”を通して、関わるすべての人の人生が豊かになるように、動物たちの生命がずっとつながっていくように、自然や資源が循環し再生するように、未来のSmileを創り続けていきます。
【SDGsについて】
SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことです。社会が抱える問題を解決し、世界全体で2030年をめざして明るい未来を作るための17のゴールと169のターゲットで構成されています。2015年9月、ニューヨーク国連本部において193の加盟国の全会一致で採択された国際目標です。
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