調査でわかった変化しないこと

近年、大規模な国際調査が実施され、これまでの「常識」が粉々に打ち砕かれています。

対象となったのは、29か国に住む、赤ちゃんから95歳の長寿者まで合わせて6400人で、調査結果は2021年に公表されました。

『これをやめれば瘦せられる』から抜粋
『これをやめれば瘦せられる』から抜粋

すると、20〜50代のあいだは基礎代謝量がほとんど変化しないことがわかったのです。結果をまとめたグラフを見てください。体格の影響を受けないよう、データを調整してあります。

基礎代謝量は生まれた直後に大きく増加し、乳幼児期にもっとも高くなります。その後、徐々に低下して、20歳から60歳ごろまで横ばいですね。

60歳をすぎると再び下降するものの、年に1パーセント以下のわずかな低下です。また、年齢を重ねるにつれて個人差が広がります。

いずれにしても、40歳を過ぎたくらいで基礎代謝量が下がることはありません。

それなのに太ってしまうのは、かなりの部分が、本書に収めた生活習慣の問題が原因です。「年だから、しかたない」と考えて、あきらめてしまうことが原因だともいえます。

『これをやめれば瘦せられる』(東洋経済新報社)
奥田昌子
奥田昌子

京都大学大学院医学研究科修了。京都大学博士(医学)。博士課程にて基礎研究に従事。生命とは何か、健康とは何かを考えるなかで予防医学の理念にひかれ、健診ならびに人間ドック実施機関でのべ30万人以上の診察/診療にあたる。海外医学文献と医学書の翻訳もおこなってきた。航空会社産業医を兼務し、ストレス対応を含む総合診療を続けている。著書に『これをやめれば痩せられる』(東洋経済新報社)、『欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス)、『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎新書)など。