子供の近視が今増えています。

そんな中、国は初めてある治療薬を承認しました。

近視の進行を抑制する目薬とは一体?治療の最前線に迫りました。


■小学4年の陽聖ちゃんの視力は裸眼で0.5 病院から”近視”と言われ小学1年からメガネ

神戸市に住む小学4年の陽聖ちゃん・9歳。毎日欠かさずやっているのがタブレット端末での学習です。

しかし勉強を始めてからわずか5分…

【陽聖ちゃんの母・聖子さん】「顔あげて。もうちょっと顔離して」

集中するあまりタブレットに目を近づけてしまいます。陽聖ちゃんの視力は裸眼で0.5。病院から”近視”と言われ小学1年からメガネをかけています。

【陽聖ちゃんの母・聖子さん】「気づいたらもう本当にこんな近くになってるんでよく声かけてるんですけど、見えにくくなったとかっていうのでやっぱり進んでるんかなと」

勉強していても注意される令和時代ならではの子供たち…

■子供のメガネ専門店 オープンした当時に比べ売り上げは2倍以上

文部科学省によると昨年度、裸眼の視力が1.0未満の小学生の割合はおよそ37%。

1979年の統計開始以来、小中高生のいずれも過去最多に。その多くが「近視」といわれています。

そんなに増えているのか?大阪市内の子供のメガネ専門店を覗いてみると…多くの親子がいました。

【小学2年生】「これがいい」
【母親】「学校検診でめっちゃひっかかっちゃって」
【店員】「去年は引っかかってない?」
【母親】「去年はAやったんです」

【小学4年生】(Q黒板が見えない?)「ぼやけて見える」
【母親】「1年も経ってないんですけどレンズの買い替えに」

【小学3年生の母親】「本を暗いとこで読んだりゲームはしてたな。(Qルールは?)ないね、明るいとこで読みやという感じなんですけど」

10年前にオープンした当時に比べ、売り上げは2倍以上となっているそうです。

【アイフィーあいがん・寺地洋子店長】「近視の方が前は3年生4年生だったのが、1年生になってきたりとか年齢が少し下がってきているなと」

■遠くが見えにくくなる「近視」 起きる仕組みは

遠くが見えにくくなる「近視」。一体どのようにおきるのでしょうか。

日本近視学会などによると通常、眼球は丸い形をしていてモノを見るとき網膜の上で焦点を合わせます。

しかし、モノを近くで見すぎることにより焦点が奥にいき、眼球が伸びてしまいます。その結果、焦点が網膜の手前にできることになり、遠くを見るとぼやけてしまうのです。

伸びた眼球は戻らないため近視は治らないとされています。

スマホやタブレットゲームにパソコン。

令和のいま、さまざまな場面で目を近づけて過ごす時間が増えている子供たち。


■近視の進行は目の成長が止まる18歳ごろまで 早い段階で進行を抑えるのがポイント

日本眼科学会の理事は近視が進行すれば、重い視力障害につながる危険性があると指摘します。

【京都大学辻川教授】「近視になると緑内障、それから網膜剥離のリスクが高くなることが知られています。最近は以前に比べて近視の若年化が進んでいるから、そういう大きな視力障害の原因となる可能性は高い」

辻川教授によると近視の進行は目の成長が止まる18歳ごろまで。つまりより早い段階で進行を抑えることがポイントとなってくるのです。

こうした中、国内初!近視の進行を抑制するという「目薬」が!

【伊丹中央眼科・二宮さゆり院長】「世の中の需要はすごく大きくて。わが子に処方して欲しいっていう人がもう本当に遠方から来られたりするので」

一体、どのような効果があるのか?緊急取材しました。

■国内で初めて近視を抑制する治療薬として承認された”リジュセア”

兵庫県伊丹市にある眼科。近視の治療を求めて週末には多くの子供たちが訪れます。

【視力検査を受ける子供】「左、わかんない」

こちらの眼科がいち早く導入した近視の新たな治療法が、国内で初めて近視を抑制する治療薬として承認された”リジュセア”。

近視の進行をおよそ30%遅らせる効果があるとされています。大阪の製薬会社が開発した目薬で、ことし4月に発売しました。

【伊丹中央眼科二宮さゆり院長】「リジュセアっていう薬が最近出たので・・・」

この眼科ではなぜ導入を決めたのでしょうか。

【伊丹中央眼科二宮さゆり院長】「コンタクトはある程度大きくならないと目に入れさせてくれないので、点眼なら小さい子供でもできますし。近視化し始めた、メガネがまだなくても見える段階の子供に使えるようになったので、すごく良いと思います」

■保険適用外の自由診療のため月4000円ほどの費用に

ただ気になるのはその価格。保険適用外の自由診療のため月4000円ほど。

目の成長が止まるとされる18歳まで使用し続ける必要があります。

【伊丹中央眼科二宮さゆり院長】「最近出たリジュセアという薬を足して使ってもらう…今の矯正用コンタクトレンズと合わせると(進行が)半減くらいすれば良いかなと思うんですけど。希望される時は言ってください」

【小学生2人の母】「費用はどれくらい?」

【伊丹中央眼科二宮さゆり院長】「費用は1カ月に4000円くらいかかるんですよ」

【小学生2人の母】「今できょうだい2人のコンタクト代が結構かかるので…生活習慣を見直して、次の診察でどんな感じか診てもらってから考えようかな。月4000円となると増えるので…」

■実際にリジュセアを使い始めた中学1年の女の子

一方で、実際にこの目薬を使い始めた人もいます。

【点眼をする動画】「まず箱から取り出します」

つい10日前からリジュセアを使い始めた中学1年の女の子。父親になぜこの治療を選択したのか聞きました。

【娘がリジュセアを利用】「どうしても年を取っていくと近視は進んでいくので、それを少しでも抑制できる効果があるものを若いうちから使えるんだったら使おうと思って、使わせるようにしています」

【リジュセアを利用する中学1年生】「不安はあまりなかったです」

増加する子供の近視。歯止めをかける一手となるのでしょうか。

■近視の進行抑制する「リジュセア」月額約4000円で18歳ごろまで継続必要

近視の子供たちが増えている中、国内で初めて、子供の近視の進行を抑制する薬として承認されたのが、「リジュセア」点眼液です。

毎日就寝前に点眼することで、近視の原因となる“眼球の伸び”を抑える効果があるとされています。

去年、国が承認した薬ですが、保険適用外で、薬代として月額約4000円、1年で約5万円かかることになります。さらに18歳ごろまで継続が必要ということです。

近視の進行を約30パーセント遅らせる効果があるとされています。

子供の近視を抑制できる薬を利用したいと思う親はいるでしょうが、一方で費用を考えるとちゅうちょすることも考えられます。利用しやすい環境を整えていくことも考えていく必要がありそうです。

(関西テレビ「newsランナー」 2025年6月16日放送)

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