夫が知らぬ間に人体に有害な不凍液を飲み物に混ぜて摂取させ、急性腎障害を患わせた傷害の罪に問われている看護助手の女について、検察は懲役4年を求刑して即日結審した。
起訴されているのは裾野市茶畑に住む看護助手の女(44)で、車のエンジンを冷却するラジエターや床暖房に使用される不凍液を夫(当時51)の飲み物に混ぜるなどして摂取させ、約50日間の入院が必要な急性腎障害などを患わせた傷害の罪に問われている。
6月12日から静岡地裁沼津支部で始まった初公判で、裁判官から「間違っているところはありますか?」と問われると、「ないです」と起訴内容を全面的に認めた。
続く冒頭陳述で、検察側は女について「かねてより夫のモラルハラスメントに悩み、家族や知人に愚痴を言っていたほか、離婚を考えていた」と指摘。
また、2カ月半の間にホームセンターなどで不凍液を計6本購入し、今回の事件以前にも少なくとも2回、夫の飲み物に混ぜて摂取させていたことを明らかにした。
今回の事件では不凍液をコーヒー牛乳や薬用酒に混ぜて摂取させていたという。
このため、「犯行態様は危険かつ巧妙で、常習性もうかがわれるなど悪質性も高い」と断罪した上で、夫が幸いにも一命を取り留めたものの一時は心停止に陥り、しばらくの間はペースメーカーの装着を余儀なくされたほか、生涯にわたり人工透析を必要とする回復不能な末期慢性腎不全となったことから、「結果は極めて重大で、動機は悪質。強く非難されるべきで、真摯に反省を深めているとは到底認められない」として懲役4年を求刑。
これに対し、弁護側は夫が処罰を望んでおらず、女自身が夫に腎臓を移植する考えを示していることを理由に執行猶予付きの判決を求めて即日結審した。
判決は6月30日に言い渡されることになっている。