「世界一の空き家大国」とも呼ばれるほど、空き家の数が激増している日本。

空き家問題のウラで動くお金を調査した。

驚きのイノベーション
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■他人事ではない!家を持たない人も直面する「空き家のおっかね~問題」

近年、社会問題となっているのが、「空き家問題」。

この話題、家を所有している人だけに関わる話かと思いきや、家を持っていない人も巻き込まれるかもしれない問題だ。

現在、全国におよそ900万軒、10軒に1軒以上が空き家となっているのですが、なんと2043年には4軒に1軒が空き家になるのではという予測も。

そんな中、関西の中で最も空き家率が高いのが…。

田中友梨奈アナウンサー:私は今、和歌山県にやってきています。というのも、和歌山の空き家率は、およそ21%と徳島県と並んで全国トップクラスなんです。

全国におよそ900万軒、10軒に1軒以上が空き家
全国におよそ900万軒、10軒に1軒以上が空き家

■“踏んだり蹴ったり”の自治体負担 修繕費増大と税収ゼロの二重苦

関西2府4県の中で、空き家率が最も高いのが和歌山県。そこで空き家のリアルな実態を調査した。

かつらぎ町役場まちづくり推進課 古野めぐみさん:こちらです。

田中アナ:想像していた空き家とちょっと違いました。築年数は?
かつらぎ町役場まちづくり推進課 古野めぐみさん:昭和52年に新築されています。48年前。
田中アナ:結構たっているんですね。

こちらの物件は今から5年ほど前に空き家になったそうだが…。

(Q.ここに住んでいた方は?)
かつらぎ町役場まちづくり推進課 古野めぐみさん:この家は、法定相続人がいない。所有者がいない状態。

そのため、現在は自治体で管轄している。ここで、田中アナがこの空き家のおっかねーポイントを発見。

田中アナ:上の部分、屋根の裏が剥がれ落ちちゃってますね。
かつらぎ町役場まちづくり推進課 古野めぐみさん:先週ぐらいに、落下しました。危険なのでカラーコーンを設置。

所有者がいないため、空き家がどんどん老朽化。現在、天井から木材が落ちてくるという危険な状態に…。しかも、木材の撤去にかかる費用は、すべて自治体が負担しているのだ。

かつらぎ町役場まちづくり推進課 古野めぐみさん:ボードを撤去するのに15万円ぐらいはかかるですけど、老朽化が激しくなって、もっと措置をしないといけないとなったら、お金が膨らんでくる可能性はある。

さらに、この空き家の固定資産税は、年間およそ4万円だが、所有者がいないため、その税金も自治体には入らないという…踏んだり蹴ったりの状態。

築48年の空き家
築48年の空き家

■自治体だけじゃない!近隣住民も被害者になる空き家問題の連鎖

そして、空き家問題で困るのは自治体だけではないようだ。

周辺の住民に話を聞いてみると…。

周辺の住民:空いてるから、変なものを置きに来る。
(Q.ゴミみたいなもの?)
周辺の住民:産廃じゃないけど、鉄のクズがあったり。

空き家だからとごみが不法投棄されたり、野生動物が住み着いて周辺への獣害が起こったり、管理されずほったらかしになることで異臭騒ぎが発生するなど、まわりの住民への影響も少なくないようだ。

まわりの住民への影響も少なくない
まわりの住民への影響も少なくない

■「だいたい30万円」 空き家維持の隠れた経済的負担

一方、実際に空き家を所有する人はどんなことに悩んでいるのか。現在、母親が空き家の所有権を持つという男性は。

相談者:築で言うと70~80年ぐらい。空き家になってるのは、約15年~20年。祖母が住んでて、病院に入院することになってから、空き家が続いている。

その後、祖母が亡くなったため、現在母親が所有権を持っているそうですが、中の様子を見せてもらうと…。

ディレクター:結構傷んでいる…。天井が抜けちゃってますね。
相談者:雨とか風とかで、天井がゆるんでしまって、そこから下の層におりてきた。

奥の部屋も見てみると…雨漏りで畳が腐り、さらに柱がシロアリに食べられている形跡も…。

家としては使い物にならない状態だが、この家にかかる固定資産税は?

相談者:固定資産税は年間で2万強。空き家の状態で15年くらい。だいたい30万円。

家としては使い物にならない状態
家としては使い物にならない状態

■「100%とは言えない」工事リスク 断言できない解体の不安

空き家問題からキレイさっぱりオサラバしたいと、取り壊しも検討しているそうですが、この家にはある問題が…。

相談者:長屋になっていて、隣とつながっている。(隣家の)承諾をとるのが難しくて、更地にできていない。

実はこの家、なんと4軒続きの長屋になっていて、取り壊すには他の3軒の許可が必要。

相談者:建物を工事したときに傾くリスク。ほとんどないとは伺っている。100%とは、その業者も明言できないので、なかなか承諾がおりない。

4軒続きの長屋
4軒続きの長屋

■「ほったらかし」も許されない 特定空き家指定で迫る税金アップの脅威

そして、もし更地にすると実は固定資産税が大幅にアップしてしまうかもしれない。

既存住宅・空家プロデュース協会理事 鈴木素子さん:家がなくなっちゃうと、5~6倍税金が上がってくる。

取り壊したら税金が6倍!?どういうことかというと…。

通常、たとえ空き家でも家が建っているだけで、土地を有効活用していると認められ、固定資産税が6分の1になるように軽減されるのですが、更地にしてしまうと有効活用していないとみなされ、6分の1の軽減措置の対象外になってしまうのだそう。

では、空き家のまま放置しておけばOK?とは、いかないようで…。

既存住宅・空家プロデュース協会理事 鈴木素子さん:空き家の管理を行政は求めてくる。放っておくっていうのは、税金が上がります。

放置すると、特定空き家や管理不全空き家に指定され、更地と同じく6分の1の軽減措置の対象外になる可能性が…。

税金6倍の恐怖から、逃れるためには?

既存住宅・空家プロデュース協会理事 鈴木素子さん:管理をしっかりしていただく。外壁が崩れていたら補修する。雨漏りの状態を修理する、シロアリの駆除をする。月に1、2回くらいは風通しをよくして、被害が拡大しないように家の管理をつとめていただきたい。

今後はアドバイスを参考に、より管理を徹底するそう。

「ほったらかし」も許されない
「ほったらかし」も許されない

■築34年の空き家から生まれた一泊8万円の宿 空き家活用の意外な可能性

空き家問題、解決のヒントを探るため、田中アナが訪れたのは京都のとある一軒家。

田中アナ:すごい!ひろっ!開放的です大きいソファーがドーンとあって…これお風呂?すごい、横のリビングとつながっています。風呂に入りながら、庭を眺めて高級温泉旅館みたい。

こちらは…最大7人で泊まれる、一棟貸しのお宿「ANJIN Gosho Ebisugawa」。(1泊8万円)

築34年になる空き家を改装して宿泊施設として去年オープン。

このように古い空き家をリノベーションするというのは、よく聞く話だが、気になるのが、その費用。

アキサポ空き家プランナー 武井理紗さん:400~1000万円ぐらい。

なかなかポーンと簡単に出せる金額じゃない。しかし、

アキサポ空き家プランナー 武井理紗さん:アキサポの方で、全額負担。

一棟貸しのお宿「ANJIN Gosho Ebisugawa」は築34年になる空き家を改装
一棟貸しのお宿「ANJIN Gosho Ebisugawa」は築34年になる空き家を改装

有効活用できそうな空き家を借り受け、改装した上で、宿泊施設や飲食店などで貸し出すアキサポ。

立地にもよりますが、空き家の持ち主にとっては、リノベーションの費用を負担してもらえたり、毎月、収益の一部を受け取れたりするなど、自己負担はほぼゼロのなんともおっカネ~サービス。

実際、この物件の持ち主に話を聞いてみると…。

(Q.月々入ってくる収入は?)
物件の持ち主 高橋さん:固定資産税(年約20万円)と火災保険料+こづかい分。

(Q.入ってきた収入の使い道は?)
物件の持ち主 高橋さん:孫と焼肉行ったりしてます。6人で1回2~3万ぐらいかな。楽しみですね。

おっカネ~サービス
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(関西テレビ「newsランナー」2025年6月13日放送)

関西テレビ
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