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プレスリリース配信元:マンションリサーチ株式会社

東日本不動産流通機構(REINS)が発表した最新のデータによると、首都圏における中古マンションの平均坪単価(※実際には平方メートル単価)は、「バブル経済」の最盛期の1990年10月を上回る水準に達していることが明らかになりました。このことは、不動産市場が活況を呈していることを示す一方で、その背後には多くの構造的な要因が潜んでいることも見逃せません。
東京都23区における販売動向の変化
不動産価格の高騰が続く中で注目すべきは、東京都23区内の中古マンションに関する販売動向です。以下のグラフ1では、一般消費者向け中古マンションにおける「販売日数」と「値下げ回数」の推移を示しています。

グラフ1 東京都23区:中古マンションの平均「販売期間」と「値下げ回数」


出典:福嶋総研

ここでの「販売日数」とは、物件が市場に出されてから成約に至るまでの平均日数を意味し、日数が短いほど購入希望者が多く、需要が旺盛であることを示しています。「値下げ回数」は、当初の売出価格から成約までに行われた価格調整の回数であり、その数が少ないほど売主側が強気の姿勢であることを意味します。

近年の動向を見ると、販売期間は依然として短期間で推移しており、需要の高さが顕著に表れています。特に、売出価格からほとんど値下げされることなく成約に至るケースが増えている点は、売主が強い交渉力を持っていることを物語っています。裏を返せば買い手が価格交渉力を持っていない事を示しており、それほどに「欲しい人が多い」「選択肢が少ない」という状況が続いていると解釈できます。
新規売出価格の上昇と背景

グラフ2 首都圏:中古マンションの成約平方メートル 単価と新規登録平方メートル 単価


出典:東日本不動産流通機構


さらに注目されるのは、新規売出価格の上昇傾向です。これは単なるインフレ的な価格調整にとどまらず、売主の「高く売れるだろう」という確信の表れであると言えるでしょう。こうした売主の強気姿勢が市場全体の価格水準を押し上げる一因となっており、結果として成約坪単価の上昇をさらに加速させています。つまり、買い手が高値でも購入を決断する構造が形成されており、その勢いは今後もしばらく続く可能性があります。
築年別の価格推移の違い
次に、築年帯別の新規売出価格の動向に注目してみましょう。以下のグラフ3では、東京都23区内の中古マンションを築年別に分類し、それぞれの坪単価推移を示しています。

グラフ3 東京都23区:中古マンション築年帯別 【新規売出】平均坪単価推移


出典:福嶋総研


興味深いことに、2005年以前に建てられたマンションは比較的緩やかな上昇にとどまっているのに対し、2006年以降に建築されたマンションは急激な価格上昇を見せています。
築浅物件が選ばれる理由
この違いにはいくつかの理由があります。まず、築年の浅いマンションは、構造基準や設備面において新しい仕様が採用されており、耐震性やセキュリティ、断熱性能などの面で明らかな差が存在します。また、共用部の充実やデザイン性の高さなども、近年の購入者が重視するポイントとなっており、築浅物件の人気を後押ししています。これにより、築年が浅い物件ほど需要が集中し、それに比例するかたちで価格も上昇しているのです。
新築供給の減少が背景に
では、なぜ築浅物件への需要がここまで高まっているのでしょうか。その背景には、新築マンション供給の大幅な減少があります。以下のグラフ4では、東京都23区内における新築マンションの年間竣工棟数の推移が示されています。

グラフ4 東京都23区:新築マンション竣工棟数


出典:福嶋総研

2003年をピークとして、その数は大きく減少傾向にあります。これは建設コストの上昇、土地取得の難化、人手不足、さらには建築規制の強化など、複数の要因が複雑に絡み合っている結果です。
老朽化の進行と代替需要の高まり
一方で、既存マンションの老朽化は着実に進行しています。築40年を超える物件の割合は年々増加しており、今後10年~20年の間に、建替えや大規模修繕を必要とする物件が続出することが予想されます。このような中で、新築物件の供給が期待できない状況下においては、築年が浅く、設備・性能に優れた中古マンションが「新築の代替品」として再評価される動きが強まっています。すなわち、築浅中古マンションが新築の需要を吸収する形となっており、これが価格上昇をさらに後押ししているのです。
今後の市場見通し
今後の見通しとしても、新築供給がすぐに回復する兆しは乏しく、土地価格や建築費の高騰、各種規制の影響などから、供給数は抑制されたまま推移する可能性が高いと考えられます。よって、今後も築年の浅い中古マンションへの需要は堅調に推移すると思われ、その結果として、当該カテゴリーに属する物件の価格水準は、今後もしばらくの間は高値圏で推移する可能性が高いと言えるでしょう。
まとめ
首都圏の中古マンション市場では、需給バランスの変化、築年による価値評価の変化、新築供給の不足といった複数の要素が複雑に絡み合いながら、市場価格の形成に大きな影響を与えています。特に東京都23区においては、築浅物件が限られた供給の中で選ばれる存在となりつつあり、それに見合った価格の上昇が正当化される状況となっています。不動産を検討するにあたっては、こうした背景をしっかりと理解し、短期的な価格動向に一喜一憂するのではなく、中長期的な視点で価値を見極めていく姿勢がますます重要になってくると言えるでしょう。

筆者プロフィール



福嶋 真司(ふくしましんじ)

マンションリサーチ株式会社
データ事業開発室 
不動産データ分析責任者

福嶋総研
代表研究員



早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、
建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。また大手メディア・学術機関等にもデータ及び分析結果を提供する。

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【マンションリサーチ株式会社について】
マンションリサーチ株式会社では、 不動産売却一括査定サイトを運営しており、 2011年創業以来「日本全国の中古マンションをほぼ網羅した14万棟のマンションデータ」「約3億件の不動産売出事例データ」及び「不動産売却を志向するユーザー属性の分析データ」の収集してまいりました。 当社ではこれらのデータを基に集客支援・業務効率化支援及び不動産関連データ販売等を行っております。

会社名: マンションリサーチ株式会社
代表取締役社長: 山田力
所在地: 東京都千代田区神田美土代町5-2 第2日成ビル5階
設立年月日: 2011年4月
資本金 : 1億円

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