定期的な訓練や危険なブロック塀への対応など、次への備えが重要ですが、その次はいつ起きるのでしょうか。「宮城県沖地震」はこれまで約38年周期で繰り返し発生してきましたが、専門家は東日本大震災の影響で、これまでよりも短い周期で発生する可能性もあると指摘します。
47年前の1978年6月12日午後5時14分に発生した宮城県沖地震。マグニチュードは7.4、最大震度は当時の基準で「5」。宮城県で27人、福島県で1人が亡くなり、1万1000人以上のけが人が出ました。
一般に宮城県沖地震とされているのは、宮城県沖の陸寄りで繰り返し発生するマグニチュード7.1から7.4の地震のことで、1897年以降、4回発生しています。
東北大学災害科学国際研究所の木戸元之教授。海底で起きる地震の研究者です。
東北大学災害科学国際研究所 木戸元之教授
「この部分が宮城県沖地震の発生確率。向こう30年で80%から90%の発生確率という計算。向こう10年以内の確率はすごく低くなっている。その代わりピンポイントで向こう30年。周期が含まれる期間はすごく確率が上がる」
政府の地震調査委員会は、日本周辺の海底や全国の活断層で想定される地震の発生確率を、毎年1月1日時点で計算し公表しています。
そのうち、宮城県沖地震は10年以内の発生確率がほぼ0%~3%。一方、30年以内では80%~90%と予測されています。
東北大学災害科学国際研究所 木戸元之教授
「宮城県沖地震の発生は平均すると37~38年周期。もちろん、ばらつきがありますけど、過去繰り返し起こってきたことが、いろいろな歴史的な資料も含めて分かってきている」
宮城県沖の陸寄りでの地震活動、いわゆる宮城県沖地震は、これまで平均して38年の間隔で発生してきました。太平洋では海側のプレートが陸側のプレートに少しずつ沈み込んでいます。その際、プレートの境界にひずみができ、それが耐えられなくなると陸側のプレートが跳ね上げられ、地震が発生します。
宮城県沖地震の震源域では、東日本大震災を起こした大規模な地震、東北地方太平洋沖地震によってひずみが一度解放されたとみられるため、現在は2011年を起点に周期の計算がされています。
つまり38年後は2049年。10年以内の発生確率がほぼ0%から3%と極端に低くなっているのはそのためです。しかし、木戸教授は38年よりも短い周期で宮城県沖地震が発生する可能性を指摘します。
東北大学災害科学国際研究所 木戸元之教授
「宮城県沖地震の場所の周囲で『余効すべり』という滑りが進んでいて、ひずみがより早くたまりやすくなる。そうすると、これまでより早い周期で、次の地震が発生する可能性もある」
「余効すべり」とは、大きな地震の後にプレートが地震を起こさずにゆっくりと滑る現象です。東日本大震災の後、宮城県沖地震の想定震源域周辺で起きた余効すべりによって、ひずみが蓄積しているといいます。
東北大学災害科学国際研究所 木戸元之教授
「学問的には十分証明できてはいないが、そういう説もある。例えば向こう10年は確率が低い状態だが、それでも警戒はしていてほしい」
木戸教授は、予測はあくまで確率論である一方、緊急地震速報や注意報・警報は、正確性の向上が著しく、その内容を信じて行動してほしいと強調します。
東北大学災害科学国際研究所 木戸元之教授
「シュミレーションや観測技術は日進月歩で進んでいて、東日本大震災の津波は最初の3分の発生が過小評価になってしまったが、それ以降はかなり正確に評価できるようになった。地震が起きた後の警報の発令は、内容を信じて確実に避難行動に移してほしい」