日本学術会議を「国の特別機関」から特殊法人に移行させる法律が、11日の参院本会議で可決・成立した。政府は新組織への移行により「独立性や自律性が抜本的に高まる」としているが、学術会議や野党からは逆に政府による介入が強まるとの懸念も示されている。法人化は2026年10月に行う。
日本学術会議をめぐっては、2020年に菅義偉政権が、日本学術会議が新会員に推薦した6人の任命を拒否したことに学術会議側などから猛反発がおき、問題化した。菅政権は任命拒否の撤回には応じず、逆に、学術会議の運営財源も含め、政府の特別機関としての組織のあり方の見直しが進められてきた。
今回の法律により、会議からの推薦を受けた首相が新会員を任命する現行方式はやめる一方、運営の透明性を高めるとして、首相任命の監事や評価委員を新設する。財政面では政府が年10億円前後を出しているが、法人化後は「必要な金額を補助できる」との規定にとどまる。
学術会議や野党からは、現行法の「平和的復興、人類社会の福祉に貢献する」とうたう前文や「独立して職務を行う」との条文の文言が消えたことなどから独立性確保について不安視する声や、政府からの拠出が不安定な補助金形式となることについて問題視する声が出ていた。