新型コロナウイルスの影響を受け世界は激変した。
各特派員が世界の今をリポートする。(第23回)

韓国人射殺事件のあとに平和訴え・・・

9月22日韓国北西部の海上で韓国人男性が北朝鮮軍人に射殺され、遺体が燃やされるという衝撃的な事件が発生しました。そしてこの事件を韓国政府が把握したわずか4時間後に、文在寅大統領は国連総会で事前に収録された映像でビデオ演説し、北朝鮮との対話による平和実現を訴えていたんです。韓国政府が事件発生を発表したのは、演説からさらに34時間後でした。平和を求める演説の直後に自国民の殺害を発表するのはあまりに間が悪く、野党からは「国連演説のために政府は意図的に発表を遅らせた」との批判が上がっています。(ソウル支局長 渡邊)

収まる気配のない反政府デモ

タイの議会の前です。タイでは反政府デモが相次いでいて、9月中旬にも若者たちが中心となり、数万人が集結しました。収まる気配のないデモを受け、議会では、デモ隊の要求の一つである「憲法改正」の議論をはじめましたが先送りとなりました。彼らが求めていた王室の権限縮小については議題にも含まれず、議会の外ではデモが続きました。王室批判は、国内でタブー視されていて、政権側は活動家の逮捕に乗り出すなど徐々に反政府集会への取締りを強めています。政権側が今後、さらに強硬な対応に乗り出す恐れもありますが、それでも若者らの批判は日に日にエスカレートしています。(バンコク支局長 佐々木)

5分でPCR検査

上海市内の病院です。中国赴任前に私は日本でPCR検査を受けたのですが、中国の検査がどのように行われているのか、実際に受けてきます。受付をしてみると検査代金は日本円でわずか2000円程度でした。思ったより空いていて、 ソーシャルディスタンスを保つように指示がなされています。こちらの病院では予約不要のため、あっという間に検査室の中へ。身元確認後すぐに検査開始。検体をとられる時は少しつらかったですが、受付から5分程度で検査終了。翌日には結果がわかり陰性でした。日本に比べ値段もやすくスピーディーな中国のPCR検査。もはや特別な検査ではなくなっているようです。(上海支局 森)

感染対策見本市

これは広告用のディスプレイなんですが、後ろから取り込んだ空気を消毒殺菌して、表から出すような仕組みになっています。ここ、北京で開かれた感染対策見本市では、マスクや防護服に加えて、様々なアイデア商品が登場しました。長時間マスクが外せない医療関係者向けには、水分補給が出来るようストローを着脱できる機能が付いたマスクもあります。また、100~200枚ものマスクを1分で作れるとスピード生産をアピールするマスク製造メーカーも。ただ、中国のマスク市場は既に飽和状態で、メーカー各社は海外輸出に力を入れています。(北京支局長 高橋)

"日本風"の広場誕生

市中心部から北西に20キロ離れたところに、日本をモチーフにした広場が完成しました。ずらりと並ぶ鳥居にはブランコが備え付けられるなど、ちょっと不思議な光景が広がります。この場所は長い間空き地でしたが、「憩いの場を作ってほしい」との住民の声を受け、モスクワ市が広場を建設しました。中には公園だけでなく農産品の市場に、イベント会場などもあります。オンラインの住民投票で日本が、イタリア、フランス、インドなどを破り、人気ナンバーワンとなったことが“日本風”広場誕生の理由です。まるで京都にいるかのような錯覚に陥る、こちらの広場。モスクワの新しい観光名所にもなりそうです。(モスクワ支局長 関根)

首脳演説もビデオ上映

国連総会のメインイベント、各国の首脳が演説を行う一般討論が始まりました。今年は新型コロナウイルスの影響で、首脳たちの演説も事前収録のビデオ上映となりました。例年なら、世界のVIPが集結し熱気に包まれるはずの議場も、がらんとしています。初日は米中の対立が際立ちましたが、25日の演説で国連デビューを果たす日本の菅首相にも注目が集まっています。創設から75周年を迎えた国連。各国の外交官からは世界の課題を解決するためにはオンラインでなく『直接話すことが重要だ』という声が次々と上がっています。(ニューヨーク支局 新庄)

ギンズバーグ判事死去で・・・

リベラル派の象徴として、国民的人気を集めたギンズバーグ最高裁判事の遺体が、最高裁の入り口に安置され、多くの人々が弔問に訪れています。その後任人事には国民の関心が集中。保守派になれば、アメリカの司法判断が一気に保守寄りとなる上、大統領選をめぐる思惑もあって与野党が激しく対立しています。指名権を持つトランプ大統領は選挙前に議会の承認を得たい考えですが、最新の世論調査では、62%が選挙後に新大統領が後任を選ぶべきと答えています。与党共和党が承認手続きを強行するか、注目が集まります。(ワシントン支局 瀬島)

丘の上から声援

現在午後8時、真っ暗な公園の中に大勢の人が集まっています。彼らの視線の先にあるのはメジャーリーグ、ドジャースのホームスタジアムです。今まさにあそこで試合が行われています。2019年はほぼ全ての試合を見に行ったという程ドジャースを愛する彼らにとって、野球は生活の一部でした。しかし新型コロナウイルスの影響で無観客での開催となった今、月に1回、球場を見下ろす丘の上から声援を送るのが彼らの生きがいです。選手の姿は肉眼ではほとんど見えませんが、かすかに聞こえる打球の音と電光掲示板の灯りが、この場所をいつもの観客席に変えてくれます。集まったファンたちは「2021年こそはスタジアムで会おう」と再会を誓っていました。(ロサンゼルス支局長 益野)

厳しい規制が再び

パブのカウンターで直接いれてもらうビールの味は格別ですが飲食業界に再び厳しい規制が課されることになりました。イギリスでは9月に入り感染者が急増。これを受けて政府は24日からパブやレストランなどの営業時間を午後10時までとする対策を発表しました。パブ店主・ローレンスさんは「政府がベストを尽くそうとしてるのはわかるが、間違った方向性だ」と話しています。他にも食事などの際、7人以上の集まりを禁止し、罰金を増額するなど規制強化に転じています。秋から冬を前に感染の爆発的拡大に対する警戒感が高まっています。(ロンドン支局長 立石)

ツールドフランスも入場制限

この通りの奥にあるシャンゼリゼ通りでは、世界最高峰の自転車レースの1つ、ツールドフランスが開催されているのですが、ことしは新型コロナウイルス対策で入場制限が課されていて、訪れた人を警察官が追い返しています。ツールドフランスは例年6月の開幕が8月末に延期され、9月20日に閉幕。しかし、感染の再拡大でゴールのシャンゼリゼ通りは、観客数5000人に制限を余儀なくされました。21日開幕した、テニスの全仏オープンも、観客数が制限されチケットが買えなくなっています。感染者数の増加は、フランス国民が待ち望んでいた大型スポーツイベントにも影を落としています。(パリ支局 藤田)

対面授業再開

トルコの学校で、一部の学年の対面授業がようやく再開しました。こちらの学校では小学1年生が保護者に付き添われて初登校しています。トルコ政府は9月21日、幼稚園と小学1年生に限り、半年ぶりに対面授業を再開させました。保護者からは「とても幸せで、ドキドキして嬉しいわ」「(再開には)希望を感じる。コロナが世界中から消滅することを祈るよ」との声が。
といっても、対面授業はまだ週に1日だけ。小学2年生から高校生については、新型コロナウイルスの感染状況を見極めながら判断する方針で、早くても10月中旬以降の再開となりそうです。感染者がはるかに多い近隣のヨーロッパ諸国で次々と対面授業が始まる中、トルコ政府の慎重さが際立っています。(イスタンブール支局長 清水)

【取材:FNN海外特派員取材班】

国際取材部
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