一向になくならない高速道路の「逆走」…。深刻な事故につながる危険な行為です。
インターチェンジ(IC)やジャンクション(JCT)といった合流地点の構造上の問題が指摘されるなか、山陰でも対策が取られています。

愛知県内の高速道路で起きた逆走。1キロほど先でトラックに阻まれる形で停車しました。運転していたのは50代の男性で、道に迷って高速道路の出口から本線に入ったとみられています。

4月下旬には、栃木県の東北自動車道で、車の逆走をきっかけに3人が死亡する多重事故が発生。こちらも高速道路の入口で侵入方向を誤ったとみられています。

こうした逆走の原因となったとみられるのが、平面交差と呼ばれるICです。
高速道路と一般道路が同じ高さで交わる構造で、専門家はその危険性を指摘します。

日本自動車ジャーナリスト協会・菰田潔会長:
上り線と下り線と交差するっていうのは、ありえない話なんですよね。作ってはいけないものだと思っています。

平面交差のICは、山陰エリアでも多く存在します。
島根県と広島県尾道市とをつなぐ尾道松江線は、ほとんどのICがこの構造になっています。
この区間でも、実際に逆走が発生したことがあります。
2025年2月、広島県の高野ICと雲南吉田ICの間で逆走する車を、職員が路上カメラで確認。幸いにして、事故はありませんでした。

全国的に逆走事故が相次いでいることを受け、道路を管理する国交省やネクスコは、対策を進めています。

田中祐一朗記者:
右に曲がるよう大きく示した看板が設置されています。

尾道松江線を管理する三次河川国道事務所とネクスコ西日本は、島根側の4か所を含む平面交差のIC11か所に逆走対策の看板を増設しました。
カラーコーンとともに正しい進行方向を示す矢印板を置いたほか、光を発する回転灯を設置するなどしています。
対策前と比べると一目で進行方向が分かるようになっています。

三次河川国道事務所道路管理課・西條健一課長:
構造的に逆に入れるような場所もありますので、さらに注意喚起を行うということで、対策を行いました。

一方で、専門家は「そもそも平面交差のICをなくすべき」と主張します。

日本自動車ジャーナリスト協会・菰田潔会長:
上り線と下り線とドライバーが焦っていたり、それから間違った判断をしたりしても、逆走しないような道路構造の道を作らなければいけないと思います。

ただ、スペースやコストの問題で、すべてのICを出口と入口に高低差をつけた「立体交差」にするのは難しいといいます。

三次河川国道事務所道路管理課・西條健一課長:
完全に分離する構造をしようとすると、その分広い用地も必要になったり施工費用はかかったりします。

三次河川国道事務所は、もし誤って逆走した場合はバックやUターンなどせず、路肩に車を停め、警察や道路管理者に通報するよう呼びかけています。

TSKさんいん中央テレビ
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