人気の「変わり種」の入浴剤です。「餃子」など食べ物の香りがするユニークな商品を製造・販売するメーカーが長野県飯田市にあります。なぜ、このような商品を作っているのか。工場に潜入しました。
はかりで粉末を量り、袋の匂いを確認。何をしているのでしょうか。
湯船に粉末を溶かすときれいなグリーンに。実は、入浴剤の試作をしているのです。
飯田市にある「温泉の素.com」。全国各地の温泉施設などの湯を再現した入浴剤を製造・販売しています。
これまで1600社以上に商品を提供してきました。
中でも注目されるシリーズの商品がこちら。各地の名産品の香りなどを再現しています。
京都の抹茶の香りを湯船に入れてみると―。
(記者リポート)
「おー、結構すぐ色が出るんですね。抹茶の香りがしますね。お湯に溶かすとすごくまろやかになって、お風呂に入って気持ちいいんじゃないかと思います」
こんな「変わり種」も―。
(記者リポート)
「静岡の浜松餃子の入浴剤です。確かに、香ばしい餃子の香りがしてきます。ニンニクが効いた餃子特有の香りも感じられます」
ユニークな商品も作る入浴剤のメーカー。研究室や製造工場を潜入取材しました。
まず、研究室。ここでは試作品の開発をしています。
温泉の素.com・宮下季代子社長:
「お風呂を使って湯色を作ったり、香りを足して調香したり、そういう作業をしている」
サンプルの湯の色は170種類以上、香りは120種類以上あり、これらを調合して入浴剤を作ります。
食べ物の香りがする商品は、セレクトショップを営む企業から依頼を受けて誕生しました。好評により、自社商品としても販売しています。
温泉の素.com・宮下季代子社長:
「おもしろさからだと思うんですけど、とても売れるんです。全国にはそれぞれ名産品があるので、名産品を温泉の素にしたらどうかと」
福岡の博多豚骨ラーメン。
(記者リポート)
「見た目がラーメンのスープのような色に変わりました。こってりのインパクトのある香りがします」
富山のダムカレーも。
(記者リポート)
「入れたとたん、カレーのスパイシーな香りが広がってきました。カレーを食べたときのように、匂いをかいでいるだけで体がぽかぽかしてくるような気がします」
このような「変わり種」も含め、入浴剤が人気を集めるようになりました。
その背景にあるのは―。
温泉の素.com・宮下季代子社長:
「一番大きかったのは、コロナ禍のちょうど終盤。当時、どこにも行けないから、消費者が自宅で楽しめる入浴剤を求めるようになった」
コロナ禍での需要増加も追い風に、2024年の売り上げは2019年と比べ、約1億円増加しました。
旅館の土産品だけではなく、企業の販促品などとしても注目されるようになりました。
工場にも特徴があります。「少量」そして「多様な商品」の製造で大手メーカーに対抗しています。
温泉の素.com・宮下季代子社長:
「多品種・小ロットになるので、1日に20、30種類近くが全部違う商品になる。大手メーカーは何万個、何十万個と同じ商品をずっと作り続けていく製造になる」
特徴は小ロットでの製造で、25gの入浴剤を200個から注文できます。
温泉の素.com・宮下季代子社長:
「25g200個で作れる日本一の小ロットだと思う。小ロットの生産がお客さまにとって大量の在庫を抱えずに済むから、試してみようということができる」
ここでは、オリジナルの入浴剤も作ることができます。また、パッケージのデザインから印刷まで工場で行っています。
記者も好みの香りで作ってもらいました。
(記者リポート)
「いただいた入浴剤を実際に入れてみたいと思います」
自宅の風呂で―。
(記者リポート)
「入ったとたん、ライムやマスカットのフルーティーな香りがして、お風呂に入っていて心地いいです」
オリジナルの入浴剤の注文はECサイトで受け付けています。
香りにこだわった開発。多様な商品の提案。
今後も消費者目線で癒やしをあたえる入浴剤を提供していきたいとしています。
温泉の素.com・宮下季代子社長:
「(入浴剤は)自分へのご褒美という感じで、仕事で疲れても私どもの入浴剤でゆっくり湯につかり、『きょうも疲れたけど癒やされるな』そんな感じで使っていただけたら最高です」