備蓄米を求めて各地で“争奪戦”が繰り広げられる中、スーパーの米価格は3週間ぶりに値下がりしました。
福岡市東区のスーパーでは…
◆ディレクター
「米の売り場ですが、銘柄米ばかりで、備蓄米は置いていないですね」
米売り場を見てみると、福岡県産米や大分県産米など5つの銘柄が並び、価格は4300円台から4700円台で販売されていました。
◆来店客
「高いままよね。3000円台にはなってほしい」
「あっちこっち高い。ちょっと値段を見に来た。ここも高い」
「子供がまだ小さいので。今食べ盛りなので、とても困っている」
消費者は米の価格高騰に悲鳴を上げていますが…
◆エムズ美和台店 久松浩一 店長
「問屋さんが備蓄米を仕入れることができれば、うちも安く売れるので、販売したいと思っている」
備蓄米が入荷できれば販売したい気持ちはあるものの、いまのところその予定はないといいます。
そしていま、店頭に並んでいる銘柄米の価格についても…
◆エムズ美和台店 久松浩一 店長
「高い値段で仕入れているので、値段は崩れないかと思います」
いま国民の大きな関心事となっている「米の価格」。
2日、政府が発表した全国のスーパーでの米の平均価格は、前週より25円値下がりし、5キロあたり4260円となりました。
3週ぶりに値下がりしましたが、去年と比べて2倍ほどの価格で、依然として高値が続いています。
そうした中、2日から備蓄米の販売が各地で加速しています。
そうすると、気になるのが福岡での販売時期です。
西日本を中心に福岡県内でも12店舗を展開するディスカウントスーパー「ラ・ムー」では、2022年産の古古米1000トンを購入していて、北九州市の若松店では6月中旬からの販売を目指しているといいます。
気になる販売価格は、5キロで税込み1980円と、2000円を切る予定です。
◆来店客
「出たら買ってみようかと」
「(早く)きてほしいな」
一方、こちらのお客さんが気にしていたのが…
◆来店客
「手軽に手に入るなら買いたいが、大行列に1時間並んでまではちょっとあんまり」
備蓄米の激しい“争奪戦”です。
関東でも1000人以上の行列ができた店舗があったということで、店側も販売に向け準備を進めています。
◆ラ・ムー 若松店 松本淳平 店長
「入口入ってすぐ右手のところで大きく展開させていただこうかなと思っています」
店の広いスペースに特設コーナーを設置し、一般客と備蓄米購入者専用のレーンを分けて販売する考えです。
◆ラ・ムー 若松店 松本淳平 店長
「ルールを守っていただきながら、ある一定の取り決めをして販売をしていく」
そして、5月30日から受付が始まったのが、町の米店などを対象にした米の随意契約です。
2021年産の「古古古米」で、中小のスーパーには6万トン、町の米店には2万トンを放出する方針です。
しかし、受付開始直後から申し込みが殺到し、農水省は米店向けの枠が上限を超えている可能性があるとして、6月2日午後5時に受付を一時休止しました。
福岡県宇美町にある「いしぬき米穀店」では…
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「申請が終わったのはきのう(2日)の朝10時ですね。受付休止という発表が来ていたので、不安もありながらですね」
急いで書類を提出し、申し込みには間に合ったといいますが、もともとは申請を断念しようとしていました。
<5月30日 取材時>
Q.午前10時から備蓄米の申込みがスタートしているが?
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「ちょっと申込みの条件が厳しかったので…」
農水省が明らかにした条件というのが、引き渡しの量は一度に最低10トンからで、8月までの3カ月間で売り切るよう求められたのです。
Q.何が10トンだと問題になる?
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「置く場所と、あと8月までに販売してしまわないといけないので、そこまでに販売ができるかというのが。あと夏場は傷むので、3カ月分置いておくというのもまた問題が出てもいけないので。条件が厳しいので、個人で入れるのは厳しいかなということで」
最低購入量のハードルが高く、一時は申請を諦めかけた石貫さんですが、ある方法に活路を見出します。
それが、ほかの店舗との共同購入です。
農水省もこれを認めていて、石貫さんは4人の仲間とともに30トンの備蓄米購入を申請。
うち6トンを取り扱う予定です。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「個人では諦めないといけないかなという思いがあったので、今回共同で参加できたことは大変よかったと思っています」
無事に申請が完了し一安心…かと思いきや、3日午前8時半すぎ、共同購入した仲間から1本の電話が。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「またきょう(3日)の12時までに出さないといけないってことですか?」
農水省に急遽、追加の書類を提出しなければいけないというのです。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「備蓄米の『売渡し申込書』ってことですよね」
◆シノザキ米穀店 篠崎和広 代表
「そうですそうです、なんか1回書いたようなことばっかりですよね」
農水省から追加の書類を求めるメールが届いたのは、なんと夜中の2時でした。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「農水省も混乱しているのか、対応に追われているんだと思いますけど、正午までに送り返してくれってことだったので、もしメールに気づかなかったらどうなっていたんだろうと心配になりますね」
仲間と電話をつなぎながら、提出期限の正午に間に合うよう急ピッチで書類を作成します。
農水省は、備蓄米の申請が予定量を上回った場合は、国が売り渡し量を調整するとしています。
いしぬき米穀店の入荷日は未定ですが、5キロ2000円前後で販売予定だということです。
◆いしぬき米穀店 石貫徹也 代表
「早ければ早いほどいいんですけど、6月10日くらいまでに入れば、6月もしっかり販売していけるのかなと思います。精米も調整して、より美味しく食べてもらえるよう工夫したいと思う」
福岡での店頭販売はいつになるのか、各企業に最新情報を聞きました。
ディスカウントストア「ミスターマックス」は、6月上旬をめどに5キロで税抜き1000円台を目指すということです。
「イオン九州」は、6月上旬をめどに税込み2138円での販売を予定しています。
「ドン・キホーテ」は、地方の販売は「6月10日以降」になる予定で、福岡での日程はまだ決まっていないそうです。
「コスモス薬品」は6月上旬から中旬をめど、ということです。
その上で、コスモス薬品については「発売日をあえて事前告知しない」そうで、これは、首都圏の店舗で大行列の争奪戦になっているため、できるだけ多くの人に公平に行き渡るように、という配慮だということです。