新潟県高校総体の陸上男子5000m決勝に3つ子の兄弟が出場した。5年前にも取材した3人が高校最後の県総体で激突。大会にかけたそれぞれの思いを取材した。

3つ子の陸上兄弟 中学生までは自己流トレーニング!?

デンカビッグスワンで行われた新潟県高校総体の陸上競技。男子5000m決勝に出場する選手の顔を見ると、3人そっくりな選手が。

3つ子の佐藤兄弟
3つ子の佐藤兄弟
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実はこの3人、5年前に陸上界に現れた3つ子のスーパーキッズとして紹介していた佐藤兄弟だ。

小学生のころ、長岡市内の陸上大会で活躍していた3人だが、中学校に陸上部はなく、3人ともバスケ部に所属。

2020年
2020年

中越高校・陸上部のマネージャーを務めていた双子の姉が支える中、近所にある急な上り坂や起伏のある道を走るなど自己流のトレーニングで実力を上げていた。

「楽しく走って」両親・姉も見守る中…最後の県総体へ!

あれから5年…高校3年生になった佐藤兄弟は悠斗さんが中越高校、啓人さんと大翔さんが日本文理高校の陸上部に所属。県総体では初めて同じレースに出場した。

父の正人さんは「本当に楽しく走ってもらえれば。納得いく走りをしてもらえれば順位は関係ないと思っている」と話し、双子の姉の真優さんは「きょうはもう一人のお姉ちゃんが来られないので、悔いなく走れるように、もう一人のお姉ちゃんの分も応援しようと思って来た」と笑顔を見せた。

また、母の福貴子さんは「つらいこともあったり、負けそうになることもあったと思うが、本当に一人一人が自分をしっかり持って、強い人柄になったと感じる」と3人の成長に目を見張っていた。

中学卒業後は寮に入り、親元を離れた3人の走りを家族も見守る。

3人続いてのフィニッシュ!全員が入賞果たす

レースの序盤は中越の悠斗さんが先頭争いを演じ、啓人さん・大翔さんが集団の中盤あたりにつける。

レース中、「初めてこういう舞台で3人が同じレースに出られたのでうれしい気持ちもありながら、やはり勝負なので、誰が勝つか負けるか分からない状況で不安な気持ちもかなりあった」と啓人さんは明かす。

レースが中盤に差し掛かると徐々に悠斗さんのペースが落ち、日本文理の2人の背中を追う展開に。

トップとの差は開く中、迎えたラスト1周半…悠斗さんがラストスパートを仕掛け、再び啓人さん・大翔さんの前に立つ。

そして、残りの力を振り絞り、いよいよゴールの瞬間。最後は3人続いてのフィニッシュに。

3人続いてフィニッシュ!
3人続いてフィニッシュ!

中越の悠斗さんが14分49秒70で6位。それに続き、日本文理の大翔さんが7位。啓人さんが8位で全員入賞を果たした。

大翔さんは「(順位的に)悔しい気持ちはもちろんあるが、3人が並んでゴールできたのはうれしいのかなと思う」とレースを振り返る。

最後の直線で何度も後ろを振り返りながらフィニッシュした悠斗さんは「正直、ラストに自分は自信がなくて、2人に越されるかなというのも考えて、後ろを見た。でも距離があったので、最後は前を見てゴールできてよかった」と振り返った。

励まし合って成長してきた3人「何でも言い合える存在でよかった」

お互いを意識しながら力を出し切った3人。

啓人さん
啓人さん

その走りを3年間見守ってきた日本文理高校・陸上部顧問の蒲澤悠貴先生は「3人揃ってゴールしたというのが運命かなと思う。今後は全国レベルのところで勝負をすることが大事になってくると思う。全国の舞台で活躍してほしい」と期待を寄せた。

最初は自己流で始めた陸上競技。今では全員で県総体入賞の成績を収めるまでに成長した。

大翔さん
大翔さん

大翔さんは「高校から思ったのは、やるならしっかり県のトップ目指して3人で頑張ろうと思った」と話し、啓人さんは「3人で励まし合ったり、そこがだめだったとか指摘し合ったりできて、何でも言い合える存在でよかった」と、これまでの陸上生活を振り返った。

3人の中で唯一、北信越大会の切符を手にした悠斗さんは、ライバルとして、兄弟として切磋琢磨した2人の思いも背負い走りたいと話す。

悠斗さん
悠斗さん

「自分だけが北信越に行けることになったので、この2人の行きたかった分、頑張って必ずインターハイに行くための行動をこれからして、悔いのないレースをしていきたい」

5年の間に大きな成長を遂げた佐藤3兄弟の今後の活躍からも目が離せない。

(NST新潟総合テレビ)

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NST新潟総合テレビ
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