随意契約によって2000円台での販売が始まった備蓄米。今回放出されるのは、2022年産と2021年産のいわゆる古古米・古古古米だ。気になる味と、おいしく食べるコツを五ツ星お米マイスターに聞いた。
気になる古古米・古古古米の味…消費者の受け止めは様々
5月30日、新潟県長岡市の野上米穀が精米や袋詰めを請け負ったのは、ドン・キホーテなどを運営する企業が契約した古古米と言われる2022年産の備蓄米だ。
野上米穀が委託する精米工場で精米・袋詰め作業が行われた。

そして、さっそく5kg2000円前後の価格での販売が始まったが、気になるのは、その味だ。
29日に備蓄米で放出している24年産から21年産のコメを試食した小泉農水相は「率直に僕はどれを食べてもおいしくいただける」と話す。
ただ、今回放出される古古米・古古古米に対する消費者の受け止めは様々だ。
70代女性:
ちょっと古い。いくらなんでも味がどうかなと思う
20代男性:
やはり値段が安いというのはあるが、値段と味・品質はやっぱり結びついているところがあると思うので
50代男性:
昔より品質も良くなって保存もいいはずだから、そんなに酷い味はしないのでは
20代女性:
抵抗感はない。今値段が高いから、安いだけでありがたいので買う
“古米”特有のにおい…その原因は「脂質の酸化」
実際に味に違いはあるのか…話を聞いたのは、コメの研究を行う新潟大学の三ツ井特任教授だ。

刈羽村で栽培された新大コシヒカリの24年産と23年産、いわゆる古古米の成分を分析した結果、玄米の表面の脂質が酸化したことが分かったという。
三ツ井特任教授は「典型的なものとしては、ヘキサナールという物質。それが古古古米になると、かなり増えているということが見られている。脂っぽい嫌なにおいというのが古米臭の特有な香りになるかと思う」と話す。
24年産・22年産・20年産を食べ比べ!味に違いは?
それが味に影響するのか?家庭用精米器で精米した新大コシヒカリの24年産、22年産、20年産を炊いて比べてみた。

実際に試食した斎藤正昂アナウンサーは、「24年産は粒立っていて粘りもあり、その中にほのかな甘みも感じるが、22年産の古古米は、少しべちゃっとした食感があり、甘みも少し減っている印象」とのこと。24年産とは明確な味の違いを感じていた。
ただ、20年産のコメを食べた感想は「食感は違うし甘みも感じない。24年産と比べると明確な違いはあるが、22年産と比べると明確にここが違うという印象はない」という。
三ツ井特任教授も「2年経つと食感がかなり変わって、香りが薄くなる感じ。ただ、もう2年古いものに関してはそれほど…」と22年産と20年産のコメの味に大きな違いは感じられないという。
今回は低温室で保存されていたコメを炊いたが、備蓄米は温度管理が徹底された環境で保存されているため、味の低下は抑えられているのではと三ツ井特任教授は話す。
お米マイスターに聞く!おいしく食べるための一手間
では、備蓄米をおいしく食べるにはどうすれば良いのか…新潟市江南区でコメの販売などを行う五ツ星お米マイスターの片山喜弘さんは一手間加えるだけでおいしく食べられると話す。

「どうしても一番古いコメというのは乾燥が進んでいるので、同じ水加減でやれば硬くなる。古いコメは水加減を少し多めにする。それで、まず硬さというのは多分解消されると思う。もち米と一緒に炊くと、もちもちとした感じでおいしくなる。炊く時にみりんやお酒、竹炭とか、そういったものを入れて炊くと効果があるかもしれない」
また、よく研ぐことで香りが抑えられるほか、古米は水分が少ないため、炊いたあとは保温せずにその日のうちに食べきるか、すぐに冷凍することが大事だという。
備蓄米の放出によって、コメの価格にどのような変化が出てくるのか、今後の動向にも注目だ。
(NST新潟総合テレビ)