「ソメイヨシノ」の枝の剪定や伐採が、全国で相次いでいる。東京・上野公園では、老齢化したソメイヨシノの枝が剪定され、目黒川でも約180本の剪定や伐採が予定されている。全国で寿命を迎える木が増える中、名古屋では4月15日、折れた枝が自転車を直撃し女性が負傷した。

「樹勢自体もかなり弱っている」老齢化したソメイヨシノ大量剪定

サクラと言えば、真っ先に挙げられるのが「ソメイヨシノ」。
ここ最近、全国で剪定や伐採が相次ぐなど、異変が起きている。

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取材班:
このソメイヨシノの枝も剪定されていますね。断面が見えています。他にも多くのソメイヨシノが剪定されています。

約430本が植えられている東京・上野公園で29日、園内のあちらこちらで、剪定をされたソメイヨシノが見られる。

公園を訪れた人:
結構、パツパツ切っているなって感じがします。

公園を訪れた人:
だいぶ短くなった。高かったけれど、こうやって見ると見やすくなっている気がする。

この時期に剪定する理由を、公園の担当者に聞いた。

東京都・東部公園緑地事務所・田中裕課長:
桜が終わったこの時期が、特に利用者の関係もありますが、枯れ枝を見つけて切ったりということは行っております。

剪定を行うのは、落下する危険性や病気がある枝で、ソメイヨシノを長く維持するためには、欠かせない作業だ。

一方、春には都内屈指の数である約800本のソメイヨシノが咲き誇る、目黒川沿いでもサクラの枝が剪定されている。

取材班:
ソメイヨシノの枝のところを見てみますと、剪定された跡がありますね。

目黒区によれば、目黒川沿いでは2025年度に約180本の剪定を予定している。また、倒木の危険性があるものは、伐採も行っているという。

目黒区みどり土木政策課・鶴田直人さん:
現在、目黒川沿いのサクラは樹齢60〜70年ほど経っている。樹勢自体もかなり弱ってきているのが現状。それに伴って保護活動、剪定伐採を行っている。

事故相次ぎ…「サクラ切るバカ」が必要

実は今、こうしたソメイヨシノの「老齢化」が全国的に問題となっている。

日本樹木医会・小林明理事:
戦後の復興期に高度経済成長もあり、サクラ特にソメヨシノがよく植えられた。(樹齢が)60〜70年になってきてそろそろ寿命。危ない木が増えている。

2025年に入り、ソメイヨシノの「老齢化」に関連した事故が相次いでいる。

近くで働く人:
あんな太いのが直撃したら、命に関わると思った。

名古屋市では4月15日、折れたサクラの木の枝が走行中の自転車を直撃し、女性がケガをした。

また、三重・四日市市で毎年開かれ、10万人ほどの人で賑わう「桜まつり」も、2025年はソメイヨシノの「老齢化」を理由に開催取り止めになった。

樹木医の診断では、約250本のソメイヨシノの老木の4分の3に木が倒れたり、枝が折れたりする可能性があるという。

ことわざでは、「桜切るバカ梅切らぬバカ」と言って、むやみにサクラを切ってはいけないとされているが、専門家はこう話している。

日本樹木医会・小林明理事:
ソメイヨシノは強く育っていたから、今まで放置された状況が多かった。本当にソメイヨシノは、『サクラ切るバカ』にならないといけない。『サクラ切るバカ』が必要なんです。古くなったサクラを少しずつ植え替えて、継続して行く時代にちょうど今入っている。
(「イット!」5月29日放送より)

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