大阪・関西万博のアンゴラのパビリオンではいまだ休館が続き、“幻のパビリオン”となっている。長く内戦が続いてきた西アフリカのアンゴラだが、そのパビリオンで未払い問題が起きている。一体何があったのか、取材した。

建設業者が工事を最終段階で中断していた

アンゴラ人留学生・ウェンベさん:
とても残念な状況です。一番問題なのは、アンゴラという国を知ってもらう機会がなくなることです。

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母国のパビリオンが休館している現状を「残念だ」と語るのは、アンゴラからの留学生。

1975年に独立した西アフリカに位置するアンゴラは、豊かな自然に加え、スポーツが盛んな国。

大阪・関西万博には、そんなアンゴラの知られざる魅力を伝えるパビリオンがあるのだが、そのアンゴラ館は今も赤いコーンが置かれ、人が並んだりする様子も見受けられない。

開幕当日こそオープンしたものの、その翌日から現在まで、ずっと休館が続いている幻のパビリオン。

「まもなくオープン」と書かれた貼り紙の脇にある小窓をのぞくと、置きっぱなしの脚立やマネキン、段ボールなどが雑然と並んだままの状態になっている。

取材を進めると、建設業者が工事を最終段階で中断していたことが分かった。

建設業者の1人、“5次”下請け業者のAさんは「端的に言うと倒産危機に近い。3月、4月分については現状入金がない状態」と話す。

「従業員が金庫の金を持ち逃げした」

休館の背景にあるというのが、工事費の未払い。

Aさんによると、アンゴラの発注を受けたのは外資系企業で、その下に2次、3次と様々な業者が工事を請け負う形になっている。

Aさんは5次の下請け業者として2月から工事に入ったものの、4次請けの企業からの支払いがストップした。その額は、約4300万円。

“5次”下請け業者・Aさん:
再三ずっと大丈夫ですか?という話をしていたけど、ずっと音信不通。

その後、4次請けの企業・X社から5月21日に支払うという連絡があったものの、改めて確認をすると…。

“5次”下請け業者・Aさん:
5月21日の話が確実なのかどうかを最優先で知りたい。

“4次”下請け業者・X社社長:
ここまできたら隠す必要がないので言いますけど、正直言って、工事費用として入金が見込めるところがないので。

“5次”下請け業者・Aさん:
この前のお約束は守れそうにない?

“4次”下請け業者・X社社長:
今、現状はそうですね。

「支払えない」と話すX社側。
そして、その理由については「従業員が金庫の金を持ち逃げした」というのだ。

Aさんは、他にも同じく工事代金を受け取れない下請け業者が更にいるという。

“5次”下請け業者・Aさん:
朝も昼も一生懸命働いていた人間が、何でこんなひどい裏切られ方をされないといけないのか。生活できない状況まで追い詰められている。状況改善しないと、この万博に携わった人で何人か死人が出てくるのではないかというぐらい。

アンゴラ政府代表「工事全体の費用を今月払い終えた」

このパビリオンの休館に関し、アンゴラの政府代表はFNNの取材に対し「工事全体の費用を今月払い終えた」とコメントした。

今回の騒動を、日本にいるアンゴラ人はどう思うのか。
「イット!」は、2023年から新潟の大学に留学しているウェンベさんに話を聞いた。

アンゴラ人留学生・ウェンベさん:
僕の友人もアンゴラの文化や産業について知りたがっているが、そういった機会が失われていることになるのです。本当に残念な出来事です。

「アンゴラにも日本にとっても良くないこと」と語り、1日も早く問題を解決してほしいと望んでいる。

アンゴラ人留学生・ウェンベさん:
自分の国を感じる機会ですから、できるだけ早い開催を待ちわびているし、自国の体験をしたいと思っています。
(「イット!」 5月29日放送)

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