随意契約で放出する政府の“格安備蓄米”は、2022年度産米を20万トン、2021年度産米を10万トンの計30万トンを予定しています。27日夜までに約70の事業者から申し込みがあり、農水省は29日、申請を受け付けた61の事業者を公表しました。このうち県内企業ではドラッグストアのゲンキーとスーパーセンターのプラント、2社です。随意契約の申し込みが確定したプラント本社で、備蓄米の入荷時期や販売価格などを取材しました。
坂井市に本社があり国内23店舗、県内で3店舗を展開するスーパーセンター「プラント」では今回、備蓄米の売り渡しで2021年度産米を80トン購入します。板谷取締役は「少しでも安いコメを買い求めてほしいという思いから参加した」と話します。
コメの高騰が続く中、客の選択肢を広げようと購入を決めたというプラント。気になる販売時期と値段については「きょう購入確定の連絡が来たばかりで、引き渡し日も決まっていない」とします。「決まり次第、6月中にも早急に店頭に並べていきたい。2021年度産で、5キロ約1800円の売価になると言われているので、その辺りで販売できると考えている」
「時期、値段ともに確定したものではない」としながらも、プラントでは日頃から取引のあるコメ卸業者に精米から袋詰め、配送までを依頼し、6月中を目標に販売を開始したいとしています。
一方で、店側でも把握しきれていないのが今回放出される備蓄米の「需要」です。“令和のコメ騒動”以前は新米しか販売したことがなく、これまでの備蓄米は入荷後、数日で売り切れたといいますが、そもそも入荷量がわずかだったため正確な需要は測れないとしています。
さらに、今回放出されるのは2022年度産米と2021年度産米は、「古米」よりもさらに古いコメです。
備蓄米の品質について消費者はー
「買うかも。食べてみないと(味の違いは)分からない。とりあえず買ってみる」
「買わない。高いけど美味しいコメ食べたいから。コメが美味しかったらおかずもあんまりいらない」
プラントが今回申し込んだ80トンは、1カ月のコメの販売数量の数%程度で「控えめ」な量とのこと。次回以降の参加については客の反応を見て決めるとしています。
一方、ゲンキーは2022年度産の備蓄米6000トンを申請し、受理されました。福井をはじめ石川、愛知、岐阜、滋賀の5つの県にあるすべての店舗で、5キロ2000円台で販売する予定です。販売時期は未定ですが、スピードを重視し最速で客に届くよう精米のタイミングも調整していきたいとしています。
ところで、玄米の備蓄米には「精米」が必要です。設備を持たない企業も多いため精米業者に依頼が殺到する懸念があります。
米の卸売や精米を行う、福井市にある福井精米にも多くの依頼が入っています。樋田社長によりますと「随意契約の備蓄米放出が示されて以降、県内外の小売業5社から相談が寄せられている」といいます。
精米の量は通常の月間の5倍ほどにあたり、受け入れ能力を大きく超えているといいます。ただ、樋田社長は随意契約で放出された備蓄米が「いつ、どのくらいの量が来るのか全くわからないため、精米作業の見通しも立たない」と話します。
県内のスーパーが加盟する企業が扱う備蓄米は、平和堂が1000トン、くすりのアオキが500トン、バローが450トンで、3社とも「現在調整中。県内での販売時期、価格は未定」としています。
また、2万トンを申請したイオンは「5キロ2000円を目安に、6月上旬から全国で順次並べていく。中旬には福井を含む全国の店舗で販売できるのではないか」とコメントしています。
