2場所連続、4度目の優勝を果たした大関・大の里。

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勝てば「全勝優勝」となる5月25日の千秋楽。
豊昇龍が横綱の意地を見せ、惜しくも「全勝優勝」とはなりませんでしたが、初土俵から13場所、史上最速での横綱昇進を確実にしました。

「サン!シャイン」では、25日の祝賀会にも参加、大相撲取材歴38年で力士本人たちとも親交のある相撲ジャーナリスト・横野レイコ氏と、元関脇の豊ノ島さんに、「大の里の強さの秘密と意外な素顔」についてお聞きしました。

大の里の意外な素顔

・好きなアーティスト「湘南乃風」
・趣味・マイブーム「部屋の周りを散歩」
・好きな食べ物「魚(なんでも)」
・好きな女性アーティスト「坂井泉水さん(ZARD)」

横野レイコ氏:
茨城の二所ノ関部屋に決めた理由のひとつが相撲に集中できる環境ということで、東京の部屋じゃなくて、のどかな部屋ということで選んだんですね。茨城の部屋の周りをのんびり散歩して地元の町、店とかを散策するのが大好きなんですよ。

実は、大の里が優勝を決めたその夜に行ったのが「ラーメンショップ牛久結束店」。
夜のニュースなどで、「大の里が優勝決定、横綱確実に」って伝えられている中で、誰にも気づかれずに、付け人と2人で行ったそうです。

お店の方に取材したところ「お相撲さんが来てるなとは思いましたけど、忙しくて大の里関と気づかなかった」っておっしゃっていまして…。大の里関も「お店の人にもお客さんにも気付かれなかったので…、僕はまだまだだなぁって思いました」って言ってました。

場所中、験担ぎじゃないですけど、部屋に戻ってちゃんこを食べてその後近くにのお店に夜食代わりに食べに行ったりしてるんですって。このラーメンショップは今場所5回行ったというくらいお気に入りなんだそうです。

小学生時代の“挫折”

2012年、大の里が小学6年生の時「第28回わんぱく相撲全国大会」で、ある小柄の選手と戦い上手投げで負けていました。

実はその相手は…。
後のパリ五輪柔道男子90kg級銀メダリストの村尾三四郎選手。

当時津幡町少年相撲教室で、大の里を指導していた長井恒輝さんを取材すると「小学5~6年生は本人にとって厳しい時期。体格だけでは勝てなくなってきた。新潟への相撲留学を決めたことが相撲人生の大きな分岐点になったと思う」と話していました。

渡辺和洋アナウンサー:
石川から新潟へ行く相撲留学というのは、多くないケースなんですか?

横野レイコ氏:
石川県って相撲どころで、有名な中学・高校がたくさんあるんですよ。体格も大きかったので大の里関は石川県の強いところにスカウトもあったし、行くんだろうと周りの人も思っていた中で、本人が「自然の環境で相撲に集中できる環境でやりたい」と「環境を変えないとダメだ」って
小学生で思うところがすごいと思うんですけど、それで親元を離れて石川県から出て新潟に行ったんですね。今は、地元石川県を盛り上げていい形で恩返しができていると思います。

豊ノ島さん:
私は中学・高校は地元に残りました。高校の時もいろんなところから誘われたんですけど、高校でもなかなか地元離れるの嫌だなって自分は思っていたので。中学ってまだ子どもじゃないですか。親元を離れるというのはすごい決断。相撲に対する思いがこの頃から強かったんだなと思います。

大学時代の同期が語る大の里のすごさ

日本体育大学時代に2年間同部屋で過ごした同期、寺尾拓真さんによると…。

とにかくパワーがすごかった。ベンチプレス180kgぐらいあげていて、立ち合いで150kg以上の相手も吹っ飛ばしていた」といいます。
そして、とにかく研究熱心で「自分の練習映像だけでなく他の学生の取組、昔の取組の映像まで見て研究していた」ということです。

豊ノ島さん生解説 大の里の新たな武器「右上手」

大の里が今場所“新武器”として繰り出している「右上手」とは?
「サン!シャイン」スタジオで豊ノ島さんに実践解説していただきました。

豊ノ島さん:
今場所特に強く感じたんですけど、去年の九州場所で大関に上がったころは、相手と当たる時に“立ち合いの当たりで一気に攻めていく”というのが大の里のこれまででした。

実践する豊ノ島さんと渡辺アナ これまでは立ち合いから一気に攻めていた…
実践する豊ノ島さんと渡辺アナ これまでは立ち合いから一気に攻めていた…

豊ノ島さん:
今場所を見ていると、立ち合いで相手が来たのを一歩左足で踏み込んで一回止めてるっていう感じです。止まってそこから押すっていう。受けてから出るっていう感じですかね。

今までは、一気に攻めていって土俵際ではたかれたりとかはあったんですね。当てた勢いで行ったらそれについていこうと思って相手と距離ができてはたかれるということがあったんですけど、今場所は一回止まったところから行くので、距離をしっかり詰めることができて、はたきとかもくらわなかったですね。

今場所では一度、踏み込んで止めている
今場所では一度、踏み込んで止めている

豊ノ島さん:
特に11日目の若隆景戦ですね。今回は我慢して右上手を取って。体は横を向いていたんですけど、このまましっかり体を寄せて寄り倒した。そこが特に今までと違かったのかなと思いますね。

今回は右上手を取り、寄り倒しに
今回は右上手を取り、寄り倒しに

豊ノ島さん:
とっさなのですぐ行きたくなるんですよ癖で。でも、そこを我慢して、上手をしっかり取ったところが、すごくよかったと思います。
(「サン!シャイン」5月26日放送)