不適切発言などで辞任に追い込まれた江藤拓前農林水産相。後任となった小泉進次郎農水相はこれまで「今、私がやらなければいけないことはとにかく米だ。コメ担当大臣だと思ってやる」と語るなど、現状4200円を超える(*5kgあたり)米の平均価格を大幅に下げていきたいとしています。特に備蓄米に関しては「6月上旬に店頭価格2000円(5kg)にする」と話しました。

石破茂首相が小泉進次郎氏を農水相に就任させたことについて、弁護士で元大阪府知事の橋下徹氏は24日、関西テレビの情報番組『ドっとコネクト』に出演し「小泉進次郎さんはピンチの時に呼ばれる政治家になった」と評価しました。

【 橋下徹氏 】
「小泉さんがピンチの時に呼ばれる政治家になったんだなと…人気取りだけじゃなくて、本当に(江藤前農水相の後任は)大変な状況”火中の栗を拾う”ような状況ですから、そこで求められる政治家っていうのは例えば林官房長官とか茂木(敏充)さんとか“実力者”じゃないとピンチの時には呼ばれないんですよ!いよいよ小泉さんは”そこのステージ”に上がったなと思います」

「それから、これ(小泉氏の農水相就任)は『選挙のためじゃないか?』って言うんですけど、実はもう自民党の中で小泉さんを“羽交い絞め”にしようという勢力がもう出てきてるんですよ。というのは僕らの感覚でいくと米の値段下がったほうがいいじゃないですか?でも自民党の多くの議員は米の値段が下がったら困る議員がいっぱいいるんです。農家さんから票を得ている人たち、農協の人たちから組織票をもらってる人たちは米の価格が下がったら困るんです…ずっと農林水産省も農水大臣も米の価格を高くするっていう人たちばっかりだったんですよ!そこに小泉さんが入ってきて、小泉さんは農協団体とか農家さんの方を振り向くんじゃなくて国民の方を向きます!と言ったことを(今後)貫けるかどうかですよね」

橋下氏「国会議員・官僚…『ルールだからできない』はダメ」

また、橋下氏は小泉農水相が打ち出した従来の『一般競争入札』方式ではなく『随意契約』方式での備蓄米放出について…

【 橋下徹氏 】
「これ(随意契約方式)ね、もっと早くやればいいじゃないかってその通りで。でも与野党を含めて国会議員は、この随意契約のこと誰も言わなかったんですよ。もともとオークションなんかやったらどんどん高値になるわけで、僕もいろんな国会議員と(この件で)議論させてもらいましたけども、みんな『国有財産なんだから入札が当たり前でしょ』ってみんな言うんですね。僕は行政の長をやってたので『随意契約(というやり方)がある』と言っても、ほとんどの国会議員が『できないできない』と言っていた。最後に石破さんと小泉さんがドーンと随意契約(を打ち出した)と。(随意契約方式は)もう国会議員もみんな難しい難しいって言うんですけど、いざというときには簡単にやってるんですよ。例えばアベノマスクの場合。あれは逆で(マスクを)調達する方だから本当は安い値段で調達しなきゃいけないから、入札で安い金額のところが調達しなきゃいけないんだけど、(マスクが必要だとして)バッと大金で買ってるでしょ。オリンピックの事業もほとんど随意契約ですよ…(コメについては有事だから)官僚が『ルールだからでできない』というところを政治家がパッパッと書き直せばすぐできることで、これまでの国会議員がそう言わなかった」

橋下氏「野党は文句ばっかり言って…”あんぽんたん”」

また、今回の問題で小泉農水相就任後に野党が「(随意契約を)何でもっと早くチャレンジしなかったのか(立憲・野田代表)」「随意契約一択で指示することはいかがなものか(維新・前原共同代表)」「なんちゃって減反ではなく『価格政策』から『所得政策』へ(国民・玉木代表のXより)」などと発言していることなどに対し「野党は文句ばかり言って…“あんぽんたん”だ」と厳しく批判しました。

【 橋下徹氏 】
「いろいろ言っているがこの人たちは、もっと早く随意契約を国・政府に対して提案すればよかったのに誰も言ってなかったんですよ。野党の人も何にも言わずに『米下げろ下げろ』しか言ってなかった。ここに来てなんか文句ばっかり言っても”あんぽんたん”。今になって文句を言うのではなく、先に提案しなきゃ…そんなの」

備蓄米の随意契約を打ち出した小泉農水相ですが、合わせて「減反政策を止めて増産・輸出を目指す」という今後のコメ政策の方針についても述べています。

小泉農水相に農業改革できるのか?東京大学大学院・農学部の鈴木宣弘特任教授は「意気込みは期待したいが、そう簡単ではない。増産に加えて価格引き下げでつぶれる農家をどう支えるか?その仕組みづくりが必要」だとしています。


橋下氏「(9年前できなかった)農協改革は今回やれますよ」

こうした小泉農水相の打ち出している農業改革について橋下氏は

【 橋下徹氏 】
「僕は『農業も守るっていうよりも戦う』っ言ってもらって、どんどん産業化してもらって、若い人にも入ってきてもらって、小さい農家さんもその株式会社の中に入ってね、一大産業にしていくっていうそういう壮大なビジョンを作ってもらいたいなと思うんです。その間にちょっと困ってる人、倒れて弱っていく人には(政治などが)サポートをやってもいいけど、全体としてはやっぱり、産業化っていうことでやってもらいたい。農協を”絶対悪”ってする必要はないと思うんですよ。問題は農協のような組織が1つしかないということ。複数あれば切磋琢磨するんで…そういう組織をいっぱい増やしていく、生産性が上がってなかったっていうところがあるからいろんな企業が入ってきたらいいと思います」

と持論を述べました。その上で、小泉氏が9年前の自民党・農林部会長時に農協改革に”失敗”したことについて…

【 橋下徹氏 】
「やっぱりそれは農林部会長のクラスだったら(改革をやりたいと思っても)権限ないからできないんですよ。今回は大臣…総理と組めば(改革を)やれますよ。本当に(コメの)価格が下がったら農家さんは反対をするかもわからないけど、国民全体は雰囲気変わると思います」

ただ、今後の米価の見通しについて農業政策に詳しい東京大学大学院・農学部の鈴木宣弘特任教授は「国が価格を決めるので備蓄米価格は下がる見込み。ただし、秋の新米も4000円台で既に取引をしていて全体的な価格の引き下げは難しい可能性」としています。


【 関西テレビ「ドっとコネクト」5月24日放送 】

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。