政府は、高値が続くガソリン価格を引き下げる新たな措置を、2025年5月22日からスタートさせました。実際に引き下げの効果は出ているのか、調査しました。
■ガソリン“定額補助”スタート 「5円値下げ」のスタンドも
政府はガソリン価格を抑えるため定額を補助する新たな措置を、22日からスタートさせました。
武藤容治経産相(20日):
燃料価格の定額引き下げ措置は、段階的に補助を増やします。物価高に苦しむ国民の皆さんの負担軽減につながると考えております。
半年余りで、愛知県のレギュラーガソリンの価格は、167円台から181円台と最大14円ほど上昇しました。

今回の措置で実際値下がりしているのか、23日に名古屋市中区のガソリンスタンド「タカラ石油」を訪れると、1リットルあたり161円と前日から5円値下げされていました。

タカラ石油の山内三慶さん:
(価格が)下がってお客さんがどんどん入ってくると助かりますよね。
政府は22日から、レギュラーガソリン1リットルあたり最大10円の定額補助を開始しました。しかし、一気に10円下げるのではなく、市場価格の急激な影響を避けるため、まず5円下げた後、1週ごとに1円ずつ下がるように補助を追加し、最終的に最大10円となります。
実際に小売り価格に反映されるには一定の時間がかかりますが、このガソリンスタンドでは周囲の状況などを見て、22日に値下げをしました。

ガソリン価格の引き下げに、ドライバーからは喜びの声が聞かれました。
客ら:
ずっと高いのが続いていたので、今回ちょっと下がってありがたいなと。食費とかも上がっているので、家計も助かります。
安くしていただけるなら、それに越したことはないですね。
(車を使うのは)主に仕入れですね、今は。うれしいわね、毎日走るから助かりますね。
店側は、一気に下げた方が、より消費者が値下げの効果を実感すると話します。
タカラ石油の山内三慶さん:
本当の気持ちとしては一気に10円下げてもらえれば。原油の価格、それに為替が円安になった場合に、また上がる可能性があるんです。そういうことを考えると、一気に10円下げて「本当に下がったんだな」とお客さんも実感が湧くんじゃないですか。
■運送会社は「小手先の値下げ」 効果に疑問も
名古屋市港区の運送会社「信成」は、36台のトラックを保有しています。1カ月でおよそ6万リットルの軽油を使用し、燃料費は月額にすると800万円ほどになります。

今回の措置で、軽油もガソリンと同じ最大1リットル当たり10円補助されますが、段階的な値下げでは期待するほど燃料費は下がらないのではと、疑問を呈しています。
信成の成瀬茂喜社長:
正直なところ、あまり補助は関係ないですね。期待はしていないです。補助というと一時的なものになってしまいます。実際、去年と比べても(軽油代は)10円以上上がっていますので、(補助で)それが戻ったとしてもあまり影響はない。

この会社では燃料費を抑えるため、ドライバーが車を離れる時に必ずエンジンを止めるなど地道な対策をとっていますが、成瀬社長は「小手先の値下げ」ではなく抜本的な対策が必要だと話します。
信成の成瀬茂喜社長:
補助というよりも、根本的に今の暫定税率や消費税など税金の部分が大きいので、そのあたりの方を期待しているんですけども。
■「一気に」ではなく「段階的」に…暫定税率の廃止は?
22日からはじまった新たな値下げ措置ですが、特徴は価格を段階的に下げる、つまりいきなり10円安くなるわけではありません。

例えば、価格が180円で一定だと仮定した場合、まず5円補助して175円に、その後は1週間ごとに1円ずつ段階的に下げられ、最終的に10円安い170円になります。
一気に価格を下げると、買い控えやその反動で急に需要が増えたりするため、混乱させないように段階的に引き下げを行っています。
実際には日々のガソリン価格は変動するため、10円の補助があっても、それ以上に価格が上昇する可能性もあります。

ガソリン税の「暫定税率」の廃止も期待されています。
ガソリン税は、本来の税率(1L当たり28.7円)に「暫定税率」(25.1円)が上乗せされています。この暫定税率を廃止すれば、一気に25円あまり価格を下げられます。
自民・公明・国民民主の3党の間では、廃止することで2024年12月に合意していますが、廃止時期が決まらないまま先送りになっています。
(東海テレビ)