不気味な表情の幽霊が描かれた掛け軸「絹本淡彩幽霊図」。まるで幽霊が画から抜け出てきそうな斬新な構図で“幽霊画の傑作”と呼ばれています。

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そんな希少な掛け軸が5月19日、盗難被害に…。

犯人を捕まえたのは、78歳になる住職でした。

「勝手に本堂に…」住職が犯人を追跡

滋賀・米原市にある清瀧寺徳源院。

「サン!シャイン」が寺を訪れると、本物の幽霊画は証拠品として警察にあり、複製が展示されていました。

本来なら、予約者のみが参拝できるこのお寺に、19日、30代と思しき男が突然やってきました。

清瀧寺徳源院 山口光秀住職:
「お参りしたいんですけども、本堂の方を開けてもらえませんか?」というふうに電話をしてきたので。

男の願いを聞き入れ、寺の鍵を開けた山口さん。受付付近で待つよう男に指示した後、山口さんと妻は正面の部屋の雨戸を開けるため、その場を離れます。
すると、男は、驚きの行動に出たのです。

山口光秀住職:
勝手に本堂の方に行って。真っ暗だったんですけど、そこで掛け軸を取って、(雨戸を)開けるのが終わるころになって、本堂の方からダーッと走ってきて。

男は本堂に侵入し、幽霊画を盗み、靴も履かずに逃走したのです。
山口さんは慌てて男の後を追いかけます。

山口光秀住職:
この上まで私が来た頃には、ちらっとこの辺に(男が)見えて右の方へ回るのが見えたので、ここまで来たら20~30m先に走っているのが見えた。

走って追いかけるのは体力的に厳しいと考えた78歳の山口さん。近くに止めていた愛車の軽トラに乗って男を追跡。そして、男を取り押さえました。

山口光秀住職:
ここから50mか70m行った所で犯人に追いついて、走ってる前に回り込んで。犯人も疲労困憊で諦めて座り込んでしまったんで、それで軽トラから降りて「とりあえず返しなさい」ということで掛け軸を受け取ってその時には犯人も「ごめんなさい」と謝っているという状況でした。

窃盗の現行犯で逮捕されたのは、無職の土井一輝容疑者(33)です。

山口さんと本堂へ戻り、警察の到着を待つ間、深く反省している様子だったという容疑者に…。

山口光秀住職:
そこまで一生懸命に彼が(幽霊画に対して)思っていたことがあるのかなと思って。それがちょっと方向が違っただけで(今回の)行動をしたんかなと思うんで…。
罪滅ぼしをした後は、また、この幽霊の掛け軸を見せてくださいって言ってこられるような関係になれば、その方がありがたいなとは思います。

(「サン!シャイン」5月23日放送より)