政府のガソリン補助制度が、22日から開始された。そんな中、レギュラー1Lあたり160円のコストコの敷地内に併設するスタンドに車が殺到。全国平均182円より20円以上安く、県を跨ぎ1時間かけて来る客もいた。専門家は、会員制で買い物を促す戦略だと分析している。

「もう一円でも安くなれば」補助始まるも価格下がらず

22日から新たなガソリン補助制度が始まった。車を持つ人の日々の生活に、どの程度効果をもたらすのか。

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利用者:
こんなに高いガソリン代って、1年近くずっと続いているんで。

22日から政府が、元売り各社に1Lあたり7円40銭を補助する。この補助額は段階的に拡大される予定だ。

利用者:
少しでも…もう一円でも安くなればいいという感じです。

利用者から早速の値下がりを期待する声も聞かれたが、大分市のスタンドでは21日と価格は変わっていないという。値下げ前の在庫が残っているガソリンスタンドは、その分を売り切るまでは価格が下がらない可能性もある。

1円でも安く、利用者のそんな叫びが消えぬ中、イット!は給油をする人が大挙して訪れるというある場所を訪れた。

取材班:
車が続々と入っていきます。レギュラー1Lあたり160円です。

このガソリンスタンドに書かれているのは、コストコの文字だ。山梨・南アルプス市にある、2025年オープンしたばかりのコストコの敷地内に併設するスタンドだ。

取材班:
スタンドは沢山ありますが、それでも収まりきらずに車が待っている状況です。もう一台、入っていきます。

コストコ会員であれば利用でき、この日のレギュラー160円は、5月19日時点の全国平均小売価格(182円10銭)よりも20円以上、安いことになる。

長野県から県境をまたいで来たという利用客はこう話す。

長野からの利用者:
地元じゃなくコストコで、安いガソリンを入れに来ました。

取材班:
どのくらい時間かけて?

長野からの利用者:
1時間…。

取材班:
地元だといくら?

長野からの利用者:
一番安くて185円、この間まで197円まで上がりましたね。

月に2~3回、このコストコスタンドを利用するという人はこう話す。

月2〜3回利用者:
(他のスタンド利用より月単位で)2000円ぐらい?1500円?(浮いている)。ガソリンが安くて、ガソリンを入れたくて(コストコ)会員になりました。

まさに、この会員になってもらうことが、コストコのガソリンが安い理由のひとつだと専門家は指摘する。

経済評論家・鈴木貴博さん:
車で来ていただくことを奨励するというのが、コストコのスタンスだと。ガソリン目当てで買い物に来たお客さん達が、いっぱいコストコで買い物をしてくれてリピートで何度も来てくれる。

「抵抗のしようがない」コストコの激安価格に地元店苦戦

一方で、同じ南アルプス市内のスタンドではこんな声が聞かれた。

店員:
抵抗のしようがないので…。(コストコと)同じ価格でやったら完全に赤字です。

この店のレギュラー価格は1L=179円で、付加価値をつけることに活路を見いだすしかないという。

店員:
タイヤの空気圧とか洗車とか、ないでしょうというかコストコよりうちのが間違いなくいいと思ってるので。

市内でも安い方だと語る、1L=172円のスタンドからもこんな声が聞かれた。

店員:
昔からここをやらせて頂いてて、結構常連さんが多いので、そこに絞ってみたいな。

そんなお店の方に、22日に始まった政府の補助制度について聞いた。

店員:
足りないは足りないと思いますね、正直な話。

一方、コストコは、政府の定額補助を受けたガソリンの値下げについては、値下げをいつ行うか
回答を控えるとコメントしている。
(「イット!」5月22日放送より)

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