5月も下旬に入り、新学期が始まって1カ月半が経ちました。

今回は、日々子どもたちに向き合う「教師」にスポットを当てます。

近年は、全国的になり手不足や業務量の多さも指摘される教師の仕事ですが、県内の実態はどうなっているのか教師の声を聞きました。

鹿児島市の西紫原小学校。

教室に向かう一人の先生がいます。

2025年4月から働く盛友愛先生です。

児童
「優しい先生」
「みんなで楽しくするときに優しくしてくれる」
「明るくてハキハキしている先生」
「帰る前にじゃんけんして、勝った順に帰るのが楽しかった」

喜界島出身の盛先生。

鹿児島国際大学を卒業後、憧れだった仕事につきました。

西紫原小学校 5年2組の担任・盛友愛先生
「小学校5年生の時の担任の先生が子ども一人一人に寄り添ってくれて。その先生みたいになりたい」

そんな盛先生の一日をのぞいてみました。

1限目は、国語の時間。この日のテーマは「聞く」ことです。

まずは盛先生がふたつの聞き方を見せることに。

パターン1(ハキハキと抑揚がある聞き方)
「Aさんは、バドミントンをしていると聞きましたが」

パターン2(暗く抑揚のない聞き方)
「バドミントンをしていると聞きましたが、いつ始めたんですか?」

「3年生から始めました」
「へーじゃあ次」

「1パターン目と2パターン目どちらがいいですか?」

時には笑いも起きながら楽しく進む授業。

続いて2限目。音楽の授業は移動教室です。
「欠席が2人です」
「よろしくお願いします」

音楽の先生に児童たちを任せ、盛先生が向かったのは別の部屋。

「失礼します」

待っていたのは盛先生を指導する、本山桂三先生です。

指導教員のもとで先生の在り方を学びます。

本山先生は元校長先生で、教育現場の大ベテランです。

実は1限目も盛先生の様子を見ていました。

拠点校指導教員・本山桂三さん
「よく言えば元気がいい、にぎやか。考えて言えば、生徒のけじめがついていない。(児童たちに)『目と顔と心を先生の方に向けて』と。時間がかかってもいい、最初は」

盛先生
「36人学級だが、一人一人に向き合って指導するのが難しくて」

「先生きれいに食べてる!」
「いつもきれいに食べてます~」

勉強も食事も遊びも、一日を通して子どもたちに向き合う毎日。

この日は午後から社会、道徳と3科目の授業を行い、毎日恒例のじゃんけんをしてお別れです。

放課後は次の授業に向けての準備を進めます。

授業後も続く先生の仕事。

西紫原小学校では業務の負担を減らそうと、通知表の作成を年3回から2回に減らしたり、毎週金曜日は職員に早めの退勤を呼びかけるといった取り組みを行っています。

県教育委員会も教師の業務環境の改善を大きな課題と捉えています。

県教育委員会 教職員課・中島靖治課長
「放課後の時間に少し余裕を持たせるために、一日の時間割の組み方を工夫して朝の会の時間を短くするなど、いろんな学校で取り組まれている。ただまだまだ改善が十分でない部分が残っているので『厳しい状況がある』という声があると思っている」

では実際に教師はどう考えているのか?

KTSがアプリで意見を募ったところ、現役の教師約170人から回答がありました。

負担を感じる業務として最も多かったのが、「保護者への対応」、「長時間勤務」、次いで「休日の少なさ」となりました。

具体的にはこんな声が。

「テストの作成や採点は基本的に持ち帰り残業代は出ない」
「事務仕事や研修が多く授業の準備に時間が割けない」
「保護者からのクレーム対応に追われている」
「忙しい先生が多いので、先生同士でゆっくり話をする時間がない」

そんな中、育児休暇から復帰したという教師が電話取材に応じました。

部活動については、「子どもが小さくて平日は行っていません」「土曜日も毎回出られるとは限りません」と伝えたら、すごくうなずいてくれる保護者もいれば、『ああ…』という顔をされて。信頼関係を築くのも大事だと思いつつも、生活も大事にしたい」

このような教師の置かれた現状を受け先週、有識者からなる検討委員会は県教委に提言書を出しました。

長時間労働や業務量の改善を求める内容となっています。

「かごしまの先生」魅力発信検討委員会 溝口和宏委員長
「一人一人の子どもたちを見る時間も必要ですし、その時間を先生がちが十分に持てていないという現状がある」

切実な思いを打ち明ける中でも電話取材に応じた教師が口にしたのは仕事への誇り。

「子供たちと一緒に成長できる時間を共有できるのが楽しい。仕事は楽しいです」

「教師の仕事が好き」

新人の盛先生も、同じ思いを語っていました。

盛先生
「子供たちの『先生』と呼ぶ声や、『一緒に遊ぼう』とか、子どもたちの笑顔が好きで宝物になっているので頑張っていきたい」

教育の現場をのぞいてみると、やりがいと、課題が見えました。

大変だけど、続けたい仕事。

そう思える職業にするために、引き続き業務内容の改善も求められています。

2025年、新たに教師として採用された人は約550人でした。

県教委によりますと、現場では担任の先生が足りてないということはなく、必要な人数を確保できているということですが、先生たち一人一人の業務量、負担にも目を向けていく必要があると思います。ただ皆さん、本当に子どもたちを大切に誇りをもって仕事をしていました。

鹿児島テレビ
鹿児島テレビ

鹿児島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。