入浴施設で倒れた40代の男性が一命を取り留めたとして、スタッフと居合わせた看護師に感謝状が贈られた。看護師が心臓マッサージを行い、施設スタッフがAEDを使用したわずか10分間の素早い行動が功を奏した。消防到着後の応急処置では助からなかった可能性があるという。
突然倒れた男性に心臓マッサージ
「一命をとりとめた功績は誠に多大であります」
伊賀良消防署から感謝状が贈られたのは、飯田市の健康増進施設「ほっ湯アップル」と、輝山会記念病院の看護師・木下洋子さん。

それは3月の日曜日だった。40代の男性が入浴後、椅子から静かに倒れた。
ほっ湯アップルの萩原茂支配人は「この辺に座られとって、すーっと倒れた」と当時の状況について話した。

「もしかしたら、嫌な予感、“職業病”かもしれないけど」
木下さんが駆け寄ると呼吸と脈がない。すぐ心臓マッサージを行った。
当時について木下さんは「何が何でも圧迫(心臓マッサージ)をしなければならないと。(急がないと)障害が起きてしまうという気持ちで素早く」と話した。
スタッフがAED使用し意識を取り戻す
スタッフは119番通報をしてAEDを用意。男性に装着し電気ショックを与えた。男性は徐々に意識を取り戻した。
ほっ湯アップルの鋤柄全社長は「日頃、訓練していますので、使えたことで(助かって)良かった」と述べた。

通報から13分後、救急隊が到着。男性は会話もできる状態で搬送された。
伊賀良消防署・中本茂署長は「(救急車が)到着してからの応急処置では助からなかった可能性が大変高い事例。迅速な応急措置によって一人の命が救われた」と話した。
心停止時は「AEDを使用して」
男性は治療を経て回復し、後日、木下さんを訪ねてきた。
木下さんは「見た瞬間に涙が出そうになりました。生きておられて安心した、という気持ち」と話した。

心停止の人を救うには、一刻も早い行動が必要。10分以上経つと救命率は大幅に下がるため、AEDの使用は欠かせない。
伊賀良消防署・中本茂署長は「AEDは(使い方が)音声で出るので、それに従って処置をしていただければ。落ち着いていただければ操作できるものになっているので、(万が一のときは)お願いしたい」と緊急時の適切なAEDの使用を呼びかけた。
(長野放送)