食材の旨味をアップさせる包丁研ぎサービスが注目されている。切れ味が落ちた包丁は、ケガや味の劣化を招くため、月1回程度の手入れが推奨される。研がずに4カ月放置するとマグロの旨味が減少、ピーマンは苦味が増加するという。専門家によると、包丁は適切に管理すれば10年以上使えるという。
880円〜の包丁研ぎサービスに利用者続々
毎日の料理に使う包丁は、湿気が増えるこれからの時期、傷みが出やすくなるタイミングだ。

切れないままだと滑って怪我をする恐れもある上に、食材の味が損なわれることもある。毎日のお料理を少しでも楽に美味しくしてくれる、包丁の研ぎ方を探る。
ロイヤルホームセンター南千住では、月に約100件の依頼があるというこんなサービスがあった。
60代:
すんなり切れなくなってきたから切れないと思って、包丁研ぎのために来た。
1本880円〜で、包丁を研いでくれるサービスだ。依頼した女性は半年に1回、定期的に利用しているという。プロにお願いする理由を聞いた。
60代:
自分じゃ研げないので、よく角度がなんとかっていう話あるけど、分かんないから。研げてるかどうかも分からない。
お客さんの中には職人さんもいた。お願いしたのは、仕事で毎日使う刺身包丁だ。毎日手入れしているというがその切れ味を確認するため、お手入れ前の包丁で新聞紙を切ってみた。
ロイヤルホームセンター・判田治さん:
包丁が滑っちゃう。刺身を切る包丁なので、薄く切るにはもうちょっと切れるようになってた方が使いやすい。

プロが研ぐこと約30分。仕上がった状態でもう一度新聞紙を切ってみると、刃が触れた瞬間、新聞紙が真っ二つになった。
20代:
本当に全然違いますよね。めちゃくちゃ綺麗。
トマトで試してみても、スムーズに刃が入っていくのが分かる。

切れ味の落ちた包丁は刃がすべりケガをしやすくなるだけでなく、余計な力で疲労感も増してしまうという。
そして、味にも変化をもたらすという驚きの研究結果もある。包丁研ぎを4カ月しない状態でマグロを切った場合、旨味が減ってしまい、ピーマンに関しては苦みが増加する。原因は、繊維を壊し、旨味などが外へ逃げてしまうためだという。
研ぐ際の包丁の角度は“15度”で…月1回のお手入れを
小山内鈴奈キャスター:
宮司さん、ご存じでしたか?

宮司愛海キャスター:
知らなかったです。包丁を研がなきゃとは思いつつも、毎回刃こぼれした状態で切っていて、研ごうと思いました。
出来れば家で上手に包丁研ぎをしたいが、街で聞くとこんな悩みがあった。
30代:
大体これくらいかなっていうので研いでるけど、正確な角度までは知らない。
30代:
とりあえず包丁研ぐのを、まっすぐ前後に引くくらいのレベルしか知識がない。
そこで、包丁のプロに家で研ぐ際の大事なポイントを聞いた。まず1つ目「研ぐ際の包丁の角度は15度で一定に」だ。
貝印 包丁マイスター・林泰彦さん:
砥石に対して、15度くらいになればいいなというところ。

15度は小指を包丁に挟んだ角度がちょうどそれにあたるという。そして次のポイントをこう話す。
貝印 包丁マイスター・林泰彦さん:
目視だと中々分かりづらいが、それを指で触って確認する。バリ(金属の削りカス)が出たかどうか。
研いだときに「バリ」と呼ばれる金属の削りカスが出てきたら、包丁が研げているサインだ。肉眼では見えにくい為、指で触って状態を見ながら研いでいく。そして数分間続け、滑らせるように削りカスを取っていけば完成だ。

ただ、砥石はハードルが高いという方には研ぎ器が良いかもしれない。研ぎ器のコツも聞いた。
貝印 包丁マイスター・林泰彦さん:
この辺(包丁の中央部)だけやる方がいるが、ここだけ削れて包丁が使いづらい形になってしまう。端から端まで通すというのが、基本的に推奨されるやり方。
林さんによると「望ましいお手入れの頻度は目安として1カ月に1回」、包丁の寿命は「きちんとメンテナンスしていれば10年以上」で、冒頭で紹介したようなホームセンターでのサービスや、自宅でのお手入れをうまく取り入れれば長持ちするという。
(「イット!」5月19日放送より)