東京都が推進する船通勤の新航路が14日、天王洲から五反田間で開設される。所要時間約35分で運賃は900円。天気の良い日は目黒川沿いの景色も楽しめるが、電車と比較すると所要時間も運賃も倍以上となる。

東京都は、渋滞緩和や防災時の移動手段としての発展に期待している。
船上から絶景を眺めながらの通勤も
新たな通勤手段として東京都が力を入れている「船通勤」。その新しい定期航路が開設された。
テーマは「目黒川を船で通勤…利用広がる?ソレってどうなの」だ。

14日から導入される船通勤の新たな定期航路。一体、どことどこを結ぶのだろうか。
東中 健キャスター:
天王洲と五反田間を結ぶ船です。通勤としても利用できるということです。
新しい定期航路は品川区の「五反田」と「天王洲」を結ぶ。所要時間は約35分。

東中キャスター:
通勤とかでこの気温で風を感じながらだと、すごく気分が良いんじゃないでしょうか。

潮風が気持ち良さそうな天王洲を出発。その後向かったのは…
取材班:
船が目黒川を来ました。

東中キャスター:
今も新緑が綺麗ですけど、桜の季節だとより美しい景色が見られるんじゃないかと思います。

両岸の桜が有名な目黒川。満開の季節には絶景を眺めながら通勤することもできる。
東中キャスター:
30分間の運行だったということなんですけども、ほとんど揺れることもなく、景色も変わるので、新鮮な気持ちで通勤することができると思います。

新ルートの運行スケジュールは、平日の夕方から夜にかけて。仕事帰りの交通手段としての利用が想定されている。
東京都は、船通勤の定期航路を2023年度から開設している。2023年10月には日本橋と豊洲間、そして2024年5月には晴海と日の出を結ぶ航路を開設し、今回は3本目の航路となる。

実際に船通勤している人に、感想を聞くため、平日の朝に週2回運行している晴海〜日の出間の発着場を訪れた。
晴海〜日の出航路利用者:
出勤ですね。使えるときはなるべく使うようにしている。渋滞もないですし、比較的空いているので、座って行けますし、すごくいい。
晴海〜日の出航路利用者:
便利ですね。たまたま通勤が浜松町なので、本数が増えてもらいたいなと思います。
晴海〜日の出航路利用者:
月に2回とか3回とか(利用)。同じ時間だったら、地下鉄よりこっちの方が気持ちいいので船にしています。
高い運賃に天候の影響…課題残る船通勤
イット!のスタジオでは…
青井実キャスター:
山口さん、船通勤気持ち良さそうでしたね?

SPキャスター山口真由:
川べりで読書する人って多いし、職場とか家庭のプレッシャーからリフレッシュする機会になるのかななんて思ったり。

青井キャスター:
ただ、本数が少ないとかありましたけど。
SPキャスター山口真由さん:
値段も気になります。
実は今回開設された航路は、これまでとは少し状況が違う。
14日から導入される五反田と天王洲間の所要時間は約35分。運賃は900円だが、電車だと、山手線とりんかい線を乗り継いでも15分程度で到着。運賃も約420円で済む。

実は船通勤だと時間も費用も倍以上かかってしまうのだ。
一方、すでに運行されている晴海〜日の出ルートでは、電車などを使うと30分以上かかる時間が、船だと、わずか5分。
しかも、船には屋根がないため天候によっては運行できないこともある。

これも踏まえて、街の皆さんに船通勤をどう思うか聞いた。
街の声:
五反田から天王洲か。面白いが通勤はちょっとね。電車の方が絶対早い。価格がリーズナブルであれば。あと運行時間。それによっては良いと思いますね。
街の声:
仕事では全く使わないけど、天王洲アイル方向のイベントがあれば乗ってみたいと思います。

そうした中であっても、道路網や鉄道も成熟している都市・東京に、なぜさらに船の航路を増やすのか。都の担当者にどんな狙いがあるのか聞いた。
都の担当者:
船は混雑や渋滞を回避して快適に移動できる。観光だけでなく、日常的なものにまで広げて周囲の活性化を図り、水辺の賑わいに繋げたい。
さらに12日、小池知事は、船による交通や輸送の発展の意義を次のように説明している。

東京都・小池知事:
川を有効利用することにより、人の流れや渋滞、混雑を避ける防災の際の緊急のツールとして有効に活用する。3つの路線が開始されることで様々な発展形が考えられる。より活性化させていきたい。
まだまだ観光色が強い船通勤だが、防災にも役立つ可能性を秘めているという。今後、定着していくのか注目だ。
(「イット!」5月13日放送より)