新生活に慣れずに体調を崩して五月病を患うこともある、この時期。不調は肌にも表れ「肌の五月病」ともいわれています。その要因や適したスキンケアを専門医に聞きました。
「5月は肌トラブルで患者も増える」と話すのは、福井市にある石黒皮膚科クリニックの石黒和守院長です。「5月は“肌の五月病”といわれるくらい肌トラブルが増える時期。乾燥して気温も上がることも一つの要因。黄砂で顔や目がかゆくなったり、五月病のストレスで悪化する人もいる」と話します。
紫外線×ストレスが肌トラブルに
肌の五月病は、カサつきや吹き出物、かゆみなどの症状を指します。原因の一つがストレスです。
私たちの体をコントロールする自律神経が乱れることで肌の新陳代謝が遅くなり、肌トラブルを引き起こすのです。さらに石黒医師は「案外、5月も紫外線の量が多いので、紫外線によるトラブルがある」と注意を呼びかけます。
赤ちゃんの頃から日焼け止めを
福井県内の月別の紫外線量を表したグラフでは、5月は夏に次いで紫外線が強まっていることが分かります。この紫外線が肌に悪影響を及ぼします。「紫外線が増えると肌トラブルが増える。急性のものもあるが、若いうちに対策をしないと将来シミやシワの原因になる。皮膚がんの原因になるので将来的なことも考えて紫外線対策は重要」と石黒医師。
石黒医師は「乾燥を防ぐための保湿、そしてUVケアが大事。小さい頃から紫外線対策として日焼け止めを塗るのが大事。赤ちゃんからでも塗っていいと指導している」と乳児期からの紫外線対策を呼び掛けています。
さらに「手のひらに日焼け止めを出して顔に塗っているが、間違い」と指摘します。
手のひらに日焼け止めを出した場合、手のひらに吸収されるうえ、手のひらでゴシゴ シと塗ることで、顔に刺激を与えてしまうといいます。
正しい日焼け止めの塗り方
顔への正しい日焼け止めの塗り方を石黒医師に聞きました。
石黒皮膚科クリニック・石黒和守院長:
「手の甲にパール大の日焼け止めを出して優しく薬指で顔に5点塗り、優しく伸ばすのが正しい日焼け止めの塗り方。優しくぬるのが大事で、特に目の周りは、人差し指では力が入り過ぎるので、薬指で圧がかからないように伸ばすのがポイント。忘れやすい耳 の後ろや首も塗ること」
顔は皮膚が薄いため、日焼け止めを手の甲に出してから顔にのせ、薬指でやさしく伸ばして塗ることが大切です。
“汗活”で夏に備えを
さらに、健やかな肌を保つためにこの時期から始めた方が良いことがあります。
石黒皮膚科クリニック・石黒和守院長:
「バランスのいい食事をとり、睡眠をとるのが基本。それに加え、僕は『汗活』と言っているが、夏に向けて汗腺のトレーニング、汗をかきやすくするトレーニングが大事。急激な運動ではなく、少しずつ有酸素運動をして汗のトレーニングをして汗をかきやすい準備をしておくのがこの時期は大事。冬にさぼっている汗腺を“そろそろ夏だよ”と起こしてあげる時期」
夏を迎える準備は肌にも必要です。ちなみに日々、時間に追われている石黒医師も続けている“汗活”があります。「僕は家内と一緒にヨガをしている。急激に走るのは悪い汗をかくと言われていて、ゆっくりかく汗がいい。さらっとしているのがいい汗。べとつくのは悪い汗。(心臓に)負担がかからないようゆっくりとかくのがいい汗。ヨガは心身のリラックスにもなり五月病にもいいと思う」
紫外線対策だけでなく、有酸素運動などをして汗をかくためのトレーニング“汗活”をして夏に備えましょう。