北陸新幹線の沿線自治体でつくる建設促進同盟会の大会が12日、東京都内で開かれました。大会では、小浜・京都ルートを前提に敦賀ー新大阪間の早期の全線開業を目指すことなどを盛り込んだ要望書を満場一致で決議しました。
 
石川県の馳知事は米原ルートへの再検討を求める要請を出したものの、決議には賛成し、小浜・京都ルートの整備に向けて政府や自民・公明の与党が京都府や大阪府の理解を求めていくべきだとの考えを示しました。
  
国などへの要望書を決議する北陸新幹線建設同盟会の大会をめぐっては、石川県が事務局の福井県に対し「米原ルートの再検討」を要望書に盛り込むよう求めたことから、小浜・京都ルートを前提に早期の全線開業を訴えてきた同盟会の対応が注目されていました。
 
12日に東京で開かれた大会には、同盟会の会長を務める杉本知事のほか、石川県の馳知事をはじめ沿線自治体のトップや国会議員ら約330人が参加しました。
 
決議文には「米原ルート」の文字はなく「小浜・京都ルートでの早期全線開業」に向け▼京都府の課題解決に国が全力を挙げて取り組むこと▼安定的な財源の確保▼早期の詳細ルートの決定、などが盛り込まれました。
 
会の冒頭、杉本知事は小浜・京都ルートは経済面だけでなく国土強靭化の面からもなくてはならない国家プロジェクトだと強調し、時折、出席者に賛同を促しながら熱弁をふるって再燃するルート問題をけん制しました。
 
福井県の杉本達治知事:
「沿線住民の意見やルート問題と様々な議論が山積しているが、その上で、今日本が何をすべきかが問われている。国家百年の計を政争の具にしてはいけない」
 
一方、石川県の馳知事は小浜・京都ルートでの早期全線開業を求める同盟会の要請文には賛成するとしましたが「万が一、大きな前提が崩れた場合には、10年前に議論があった米原ルートも検討してほしい。政府や関係機関も京都が抱える7つの課題を1日も早く解決し認可、着工に至ることができるよう環境整備をお願いしたい」としたうえで、「京都の課題が解決しなければ米原ルートへの再考を求める」と表明しました。
 
これに対し他の沿線自治体はー
 
富山県の新田八朗知事:
「経済圏、関西圏を含む沿線が一致団結して求めてきた小浜・京都ルートでの全線整備を堅持すべきということをこの場で申し上げておきたい」
 
関西広域連合長の滋賀県・三日月知事:
「私たちが望んでいるのは小浜・京都・大阪を早くつなぐことで、米原ルートについては望んでも求めてもいないということを明確に申し上げておく」
 
この後、石川県の国会議員や県議会議員らが採決の前に退場したものの、要望書は満場一致で決議されました。
 
大会を終えて杉本知事は石川県の馳知事の姿勢について「一つの考え方を示しているということであって、(米原ルート再検討を)前提にしつつも決議案に賛成されたということは完全に賛成してもらってるということだと思う」との見解を示しました。
  
その上で杉本知事は、沿線自治体の足並みの乱れは否定し、京都府などが懸念を示す課題の解決などに政府や与党が全力で取り組むよう同盟会として求めていくとしました。
 
一方、京都府の西脇知事、大阪府の吉村知事は大会には参加しませんでした。これについて石川県の馳知事は「京都府内ではなく政府において解決すべき課題だ。早く京都と大阪の府知事がこの会議に胸を張って参加できるよう(政府に)政治力を発揮してほしい」と政府に注文を付けました。
 
大会の後、杉本知事ら出席者は政府や与党に対して要望活動を繰り広げました。

福井テレビ
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