「リトル・インディア」と呼ばれ、全国の自治体の中で在留インド人の人口が最多となった東京・江戸川区。経済成長続くインドとの連携促進で区内経済活性化を狙う。
江戸川区に住むインド人は、今年4月1日現在で7702人に上り、全国の市区町村の中で最多となっている。およそ25年前、コンピューターの不具合が懸念された2000年問題をめぐり、インドからIT関連の人材が来日したのを機に江戸川区に住むようになったのがきっかけとされている。

その多くが住むという西葛西へ行ってみると、公園で遊ぶ子供と保護者、日常品の買い物をする親子など、多くのインド人の姿が見られた。
駅からほど近くにインド料理の食材店があったので入ってみると、アルバイトとみられる女性店員が笑顔で出迎えてくれた。日本に住んでから1年くらいだというが彼女が話す日本語はとても上手だ。「インド人が多いですね」と話しかけると、「ここは、リトルインディアとも呼ばれているんです。とても住みやすいです」と答えてくれた。
なぜ、インド人が江戸川区に多く住むのか?都心へのアクセスの良さと、古くからインド人のコミュニティーが存在し、新たに移住してくるときに、支援やアドバイスをしてくれる人たちがいるからだそうだ。
江戸川区は去年12月、成長を続けるインド経済に目をつけ、日本とインドとの経済や文化交流など、相互理解の推進役として活動する最も歴史のある公益社団法人「在日インド商工協会」と、国内初となる包括連携協定を締結した。外国人を受け入れるだけでなく、区内のビジネスを活性化させるという手法は、他の自治体にとって参考になる面白い取り組みだ。
外国人が急増した当初は、ゴミ出しのマナーが悪かったり、夜にうるさく騒ぐ、などといった外国人に対する苦情が、区に寄せられた時もあったという。近年では、区や自治会、マンションの管理組合が粘り強く地域社会のマナーやルールを説明し、改善されるケースも増えてきた。

江戸川区によると、在住外国人はこの40年間で約13倍増加、2100年には区民の5人に1人が外国人になる計算だ。
外国人との共生は必須の課題となっている中、区は、多文化共生の精神を条文化し、ともに生きる街を目指す条例を制定、ユニバーサルデザインマスタープランも策定した。条例は誰でも読みやすいよう、平仮名やわかりやすい表現でかかれている。
去年10月には多文化共生センターを開設、外国人へのサービスを拡充した。

区がこれまでに実施した外国人へのアンケート調査で、「生活で一番困っていること」に対しての回答は、『病気やケガをしたとき』が一番多く、2番目が『日本語の不自由さ』だった。「近くに住む日本人との交流は」との質問に、『つきあいのある日本人はいない』と答えた外国人は41.3%だった。その一方で53%が、『日本人と友達になりたい』と答えている。
区では、アンケート調査の結果を踏まえ、外国人への日本語学習支援や日本人との交流イベントを中心に外国人向けの支援を進めていく方針だ。