今回の「BSフジLIVE プライムニュース」は、立憲民主党の野田佳彦代表を迎え、総理経験者としての日米関税交渉についての考え、物価高対策のあり方、そして党勢拡大から政権交代への道筋について、識者を交え掘り下げた。

米国債を最も多く持つ日本は強気の交渉でよい

梅津弥英子キャスター:
日米関税交渉について野田さんは「マルチの会議では緩やかでもトランプ大統領の関税政策について再考を求めていくこと」「WTOのルールや日米貿易協定に反している点をきちんと話していくこと」と発言。

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野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
アメリカに国際社会の空気を感じてもらうためにも、マルチの会議でものを言うやり方が望ましいと思う。今まで出席していなかったG20の財務大臣・中央銀行総裁会議にも、ワシントンで開かれた会議には財務長官が出てきて発言した。国際社会の声も聞いたと思う。

梅津弥英子キャスター:
赤沢亮正経済再生相がトランプ大統領と会談した際、選挙キャンペーンの「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」と記された赤い帽子をかぶったことについて、朝貢外交に見えるとして野田さんは問題意識を示している。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
1995年の日米自動車摩擦のとき、橋本龍太郎通産相が相手の竹刀を自分の喉元に当て、気迫を込めて向き合っていると表現したことがあった。あれが本来あるべき姿。同じ側に座ってしまって“MAGA”の赤い帽子をかぶるようではいけない。社交の部分は当然あるが、握手するぐらいでいい。あそこまでやれば軍門に下った感がある。

竹俣紅キャスター:
野田さんがもし赤沢さんの立場なら、あの帽子をどうするか。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
かぶりません。いただくだけでよいのでは。

梅津弥英子キャスター:
交渉材料としてはLNG(液化天然ガス)の話も伝えられている。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
たぶんそれは大きい。今まで輸入先としてロシアとアメリカの比率は同じぐらいだったが、もうロシア依存は危ない。アメリカにシフトするのはよい流れで、両国にとってプラス。だが、安易にカードとして出すべきではない。日本は強気でいい。それは、アメリカの国債を一番買っているのが日本だから。向こうが一番嫌がるカードを持っている。

梅津弥英子キャスター:
有権者の方から具体的に心配する声は聞くか。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
幅広く聞く。車産業に関わる方はもちろん、「せっかくアメリカへのホタテの輸出を増やしていたのに」など。中小の資金繰り支援をしっかりやり、セーフティーネットを張り巡らせていくべき。

梅津弥英子キャスター:
90日間の交渉期限を見据える中、内閣不信任案の提出については。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:

不信任案を出す構えは常に持っていなければいけない。自民は5年に1回出してきた大事な年金法の法案を出してこないし、出しても大事な部分が抜け落ちているようなら無責任であり内閣不信任に値する。だが、国難と認識しているテーマの交渉中に政治空白を作らせるのはいかがなものかとも思う。交渉の流れはよく見ていく。

野田氏の説く「給付付き税額控除」の重要性

竹俣紅キャスター:
3月の消費者物価指数は、前年同月比で3.2%上昇、43カ月連続でプラスに。政府による物価高対策をどう見るか。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
やはり、エネルギーや食料品に関わるものの上昇が多い。政府の対応は遅い。一律給付の話も消え、補正予算を作りそうな雰囲気もなくなった。右往左往している感。

梅津弥英子キャスター:
石破総理は、5月22日からのガソリン価格の1リットル当たり10円引き下げ、電気・ガス代補助金の7〜9月再開の政策を打ち出した。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
ガソリン税・軽油取引税の暫定税率廃止については、自民・公明は国民民主とも維新とも約束している。つまり、法案を出している我々含め5つの党が暫定税率廃止の方向。10円と言わずそれを急げばいい。ただ、暫定税率を廃止すれば1兆4900億ほどの税収減になるので、補正予算を組むべき。

竹俣紅キャスター:
野田さんが夏の参院選公約に盛り込むとして発表した消費税減税の案では、「食料品の消費税率をゼロに引き下げる」「期間は原則1年間で経済状況により1回限り延長可能」また、この消費減税は「中低所得者の消費税を実質的に還付する『給付付き税額控除』に移行するまでの措置」とした。一方、方針が出る前の発言だが、枝野幸男最高顧問は「減税ポピュリズムに走りたいなら別の党を作ってください」とかなり強烈なコメントをしていた。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
枝野さんもちょっと熱くなって援護射撃をしていただいたと思う。代表選のときには給付付き税額控除と同じ立場だったからなおさら。まとめる前に報告に行き、ご説明させていただいた。中堅の議員には、「議論はあっても、決まったなら従おう」という空気はあった。

梅津弥英子キャスター:
その給付の具体的な案については。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
あまり私が喋ってしまうといけないのだが、いくつかの案がある。給付付き税額控除をベースにしたものを早急に打ち出していきたい。一番求められるのはそこだと思う。早ければ早いほどいい。逆に、ゼロ税率の政策をやっていても途中から切り替えることができるぐらいのスピードアップをしていきたい。

政治ジャーナリスト 田﨑史郎氏:
以前、軽減税率制度を天下の愚策と呼ばれたことがあった。食料品の税率をゼロにしようとするのは筋が通る。だが、時限的な制度としてそれをまた戻すなら、愚策を上塗りする形にならないか。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
戻すときは戻し方の話で、制度設計が大事。ただ、優先すべきは給付付き税額控除だということは正しいと思っている。

竹俣紅キャスター:
通常国会の後半戦の焦点について。年金制度改革に関しては、与党が検討している法案の内容は当初、基礎年金・国民年金の底上げが改革の柱だったが、削除することになり、パート労働者の厚生年金加入拡大、高所得者の厚生年金保険料引き上げが盛り込まれる方向。4月25日に自民と立憲の国対委員長会談が行われ、年金法案は5月中旬に必ず提出すると自民党の国対委員長が明言した。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
私も国対委員長を2回経験しているが、「重要広範議案」とは通常国会が始まる前後で与野党が合意して、大事な法案だから総理もじっくりと読んで本会議の質疑からやっていきましょうというもの。今回の年金制度改革法案は、5年に1度の財政検証を踏まえ長期的な財政見通しに立って年金をどう改革するか議論する通例のもの。重要広範議案の中でも最も重要。それを3月中旬に出すという話が出せず、4月までに出す約束も果たせず、今度は5月中旬と言い始めた。残り会期が1カ月ちょっとの状態で、衆参で本当に丁寧な議論ができるか。これで中身のある基礎年金の底上げ案が出てこなければ意味がない。政権担当能力がないと判断をせざるを得なくなる。

野田氏「野党系はすみ分けして1人区の候補者を一本化すべき」

竹俣紅キャスター:
最新のFNNの世論調査では、政党支持率は自民党が前回の調査より2.1ポイントアップの22.9%、国民民主党は0.3ポイントアップの11.4%、立憲民主党は0.7ポイントアップの7.6%。政党支持率で国民民主党に差をつけられている。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
ポイントの伸びは少し増えてきた。コツコツと追いつき追い越していきたい。参院選では1人区が32あり、まだ調整できていないところもあるが野党系はすみ分けして候補者を1人に絞っていくべきだと思う。敵対して戦うというより、粘り強く進めていきたい。

政治ジャーナリスト 田﨑史郎氏:
国民民主党の主張や動きを見ると、とにかく立憲と一緒に見られたくないという気持ちがありありでは。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
そうですね。

梅津弥英子キャスター:
それは感じていらっしゃる。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
比例の選挙を考えるとどうしても独自性を出さざるを得ないのはわかる。だが、必ずしも政党間協議によってすごい成果が得られたわけでもない。全部とは言わないが、野党が協力して通すことをお互いに考えないといけない。

梅津弥英子キャスター:
他党と連携する上で、消費税の減税においてはどこの範囲であれば譲れるのか。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
我々の持ち味は期限を決めていること。法律で決めようと思っている。そして、必ず明確に財源を示す。それは他の野党とはちょっと違うところだと思う。財政規律を守ろうとしている。

梅津弥英子キャスター:
50代男性から野田さんへのメール。「消費税減税の財源が何らかの税金となると、現役世代には負担が重すぎる。まずは医療福祉費を減らしていただけないか」。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
診療報酬体系を大きく変えていくことが中長期では大事。それは社会保険料の軽減にも繋がっていく。また、今まで低所得者対策ばかりだったが、中所得者が下に落ちそうになってきているところに対する手当ても大事。そこで、給付付き税額控除の制度設計が重要になる。税額控除の前の給付措置のところで短期の種のものを出していきたいと思っている。ちょっと喋りすぎたが。

梅津弥英子キャスター:
食品の消費税を減税した場合、外食はどうなるのかという質問が来ている。

野田佳彦 元首相 立憲民主党代表:
外食はそのまま。だが、その影響が起こる前に飲食店の助成なども制度設計で考えなければいけない。よく検証したい。
「BSフジLIVEプライムニュース」4月28日放送