少子化が進む社会で、子育て世代が子供を生み育てやすくなるような取り組みが広がっている。その中の一つが「孫休暇」だ。孫が生まれた職員が取得できるというもので、様々な企業や自治体で導入されているが、4月から宮崎県都城市でもスタートした。どのような制度なのか、そして利用者はどのように感じているのか取材した。
孫休暇とは…?
都城市で4月から導入された「孫休暇」について話を聞いた。

都城市職員課 川崎武継副課長:
孫が生まれた職員が取得できる休暇。お孫さんの出産の立ち合いや、お孫さんのお世話をするときに利用できる休暇になっている。宮崎県内ではおそらく初めての取り組みだと思う。

都城市では、これまでに男性職員が取得できる休暇として“パートナーの出産を補助するためのもの”と“産後育児に参加するための休暇”を導入していた。

それが4月から対象をおじいちゃん、おばあちゃんとなる祖父母にも拡大。合わせて7日間の特別休暇を取得することができ、1時間単位での利用が可能だ。制度導入の背景には祖父母世代の働き方の変化が関わっていた。
都城市職員課 川崎武継副課長:
定年延長ということで、お孫さんの生まれる職員も多くなってきているのかなというところで、今回の導入が進んだと考えている。
今回、制度の導入に強い思いを抱いていたのは、池田市長だったという。

都城市 池田宜永市長:
お孫さんのためにお休みを取るということは、結果として子育て世代のお父さんお母さんにもいいことだと思う。
実際に利用した人は…

「孫休暇」を利用 都城市フィロソフィ推進課 鬼塚めぐみ課長:
小さくてこんな感じだったかな〜というのと、自分の子供とは違うかわいさがある。

フィロソフィ推進課の鬼塚めぐみさん。愛知県から里帰り出産で帰省した娘さんが3月29日に出産し、これまでに病院への訪問や検診の付き添いなど合わせて9時間の休暇を取得した。鬼塚さんは、「娘にとっても初めての出産で心細い面もあったと思うし、孫ということで、一回子育て経験しているので、その分気持ちにゆとりがある。」と話している。

また、鬼塚さんの夫・裕一さんも都城市の学校教育課に勤務していて、交代で休暇を取ったそうだ。
「孫休暇」を利用 都城市フィロソフィ推進課 鬼塚めぐみ課長:
子育てって一人でできるものじゃないし、できるだけ多くの時間を一緒に過ごして成長を見ていきたい。
そして、これから利用する職員も。

都城市資産税課 田下勝利さん:
孫育てに関われるということで、とてもいい制度だと思って申請に来た。
都城市職員課 川崎武継副課長:
まさか孫のために休暇が取れるというのは、職員も考えたことがなかったので、良い反応というか、高い評価を受けている。
「孫休暇」のメリットは?
「孫休暇」について、多くの出産・育児を見てきた都城市の助産師・上原えり子さんは「母親の精神的安定につながる」などのメリットがあると話す。

助産師 上原えり子さん:
お産後、退院してすぐというのはホルモン的にも母親の気持ちが落ち込むことも多いけれど、そこに誰か手助けしてくれたり、話を聞いてくれる方がいるのは、母親の安心につながるので、すごいいいのではないかと思う。

上原さんが開くパパママ講座に祖父母世代が参加したこともあるということで、「孫育て」への注目度も高まっているようだ。

助産師 上原えり子さん:
孫がじいちゃんばあちゃんに愛されている、かわいがられていると思うことは、子供にいい影響を与えると思う。

都城市 池田宜永市長:
世代を超えて家族で子育てをするということで言えば、家族の絆を深めていただければと思う。

都城市は他にも子育て政策を行っている。
・保育料無料化
・中学生までの医療費無料化
・妊産婦の健診費用無料化
・保育の人材確保に向け、保育士に最大120万円を支給
(保育所などへの就職・勤続年数などに応じて)

都城市は、まず行政から始める事で、今後、都城市内の民間企業にも孫休暇の取り組みが広がることを期待しているという。
(テレビ宮崎)