鹿児島市内を走る市電の運賃箱をリアルにデザインしたトートバッグが人気を呼んでいる。市電を運行する鹿児島市交通局が、鹿児島大学の学生とコラボして製作されたもので、通販では全国からオーダーが寄せられ発送に遅れが生じるほどだという。
若者の視点でPRを 2年かけて完成
市電・市バスをもっと知ってもらいたいという思いでデザインされたトートバッグ。運賃箱がリアルに描かれ、再現度がとにかく高い。

このトートバッグ、市電・市バスにより親しみをもってもらうため若者の視点を取り入れようと、鹿児島市交通局が鹿児島大学に協力を依頼し製作された。「価値創造の場」という授業を受講する学生がアイデアを出し、何を作るか、デザインはどうするかなど、実に2年かけて完成にこぎつけた。製作に携わった鹿児島大学の学生に、PRしてもらった。

川上香好翔(かいと)さん:鍵を開けたり閉めたりするデザインや小銭が出るところなど細部まで再現したエコバッグ。表と裏で色味が違うことがポイント。現在設置されている運賃箱と、昔の運賃箱でデザインされているためマニア向けかもしれない。

「つなぐ」をテーマにした商品も コンセプトの表現には苦労
実は鹿大生が生んだ商品はもう2種類ある。今回のテーマとなっている「TsuNaGu(つなぐ)」を元に製作されたトートバッグと、運賃表が描かれたエコバッグだ。こちらにもそれぞれ、こだわりや苦労があったようだ。
脇 友朔さん:使いやすく どなたにでも手に取ってもらえる商品としてデザイン。折りたたみ面は鹿児島市電や県内のバスで使えるICカード乗車券「ラピカ(Rapica)」の部分が斜めのデザインになっている。実際にタッチする際、斜めにタッチする人が多いためそこを表現した。

緒方 椛さん:市電・市バスや交通局のマスコットキャラクター「バスでん仮面」、鹿児島大学のマスコットキャラクター「さっつん」がデザインされたトートバッグで鹿児島大学と交通局のテーマカラーになっている。本来のテーマカラーより色味を抑えて普段使いしやすいようにした。

ハン・チョンギュさん:グッズを通じてブランドのコンセプトを伝えることが簡単ではないと感じた。
細部までこだわりがつまったオリジナルトートバッグ。環境にやさしい再生PETを使用して作製されており、多くの人に使ってほしいと、学生は口をそろえる。
「かなり売れている」 通販では全国からオーダー
これらの商品は4月1日から鹿児島市交通局や鹿児島大学の生協などで販売されているほか、通販でも購入できる。交通局によると、特に運賃箱をデザインしたバッグが人気で、4月16日までに店頭、通販合計で90個近くが売れた。通販は全国から寄せられる注文メールの処理が追いつかないほど。担当者も「かなり売れている。県外の人にもデザインや形に親しみがもたれているのではないか」と驚きを隠さない。


鹿児島市民には身近な存在だけに、ちょっと関心が薄れている・・・かもしれない市電。トートバッグ片手に、ゆっくり乗って、その魅力を再発見してみてはどうだろうか?
(鹿児島テレビ)