4月21日に発売予定の、“演歌の女王”八代亜紀さんのベストアルバムを巡り、議論が湧き上がっています。

問題となっているのは、ベストアルバムに八代さんが20代の頃に同棲していたディレクターによって撮影されたという、プライベートな“フルヌード写真”2枚が掲載されるという点。

SNSなどで「八代亜紀さんの尊厳を守れ」と反発の声が上がる中、アルバムを発売するニューセンチュリーレコードは、「当社は問題と成っている写真などすべての所有権を有しており、売買契約書もございますので(中略)写真類一式を買い取って頂ければお譲りする方針です」と声明を発表。
一方で、14日には八代さんが生前所属していた事務所が以下の声明文を発表しました。

「本件問題作の発表そのものは、極めて不愉快な出来事であり、絶対に許すことのできないものであります。」
(八代ミュージック&ギャラリーHPより)
対立する両者。そんな中、渦中のレコード会社社長が、取材に対し改めて「発売中止の意志はない」と話しました。

ニューセンチュリーレコード株式会社 代表取締役:
当然うちが全部権利持ってるわけだし、誰かに許可を得る必要があるんですか?
僕も“男の意地” として(姿勢は)変えないです。八代の権利ものすべて買い取ってくださいよと。
私どももこんだけ意地になっちゃったら、発売の中止もするつもりもありません。
今回のCDを発売するにあたり、プライベート写真を含め全ての権利を所有しているといいますが、生前、八代さん本人にヌード写真の掲載について許可は取っていたのでしょうか?

ニューセンチュリーレコード株式会社 代表取締役:
ないですよ。肖像権は亡くなった場合は消えます。
さらに、レコード会社社長は生前、プライベート写真を八代亜紀さんに「買ってよ」と持ちかけたこともあり、その際は「お金ないもん」と断られたといいます。

ニューセンチュリーレコード株式会社 代表取締役:
(生前)亜紀に、「お前なんで別れた時に、それ(ヌード写真を)取り戻しとかなかったの?」っていうことを言ったことがあります。そしたら「ふふふ」って笑ってましたけどね。
“戦争の弾”“揺さぶり”“刀”
八代さんの事務所は、警察に相談。フルヌード写真が、死者の名誉毀損罪や、わいせつ物頒布等の罪にあたるとして、レコード会社側と争う考えを明らかにしています。

それでも発売中止にはしないという理由を聞くと、八代さんが生前に所属した事務所の社長が、八代さんの死後すぐに、その名前を冠した新事務所を立ち上げたことなどに“憤りを覚えた”ためだと話します。

ニューセンチュリーレコード株式会社 代表取締役:
(八代さんの死後)あまりにも手際よく、すぐ自分の個人会社をなぜ作る必要があったのと。言い方は悪いけど“戦争の弾”になったわけですよ。(所属事務所の社長に)“揺さぶり”をかけて、どういう反応をするだろうということまで考えて動きました。
まさか僕も(プライベート写真を)使うと思ってなかった。こっちの“刀”ですよね。まさか抜く時が来るとは思ってもいませんでした。
亜紀ごめんなって、あの世で会ったときに亜紀怒らないでくれよな。お前をこういう争いの道具に使っちゃってごめんなって気持ちは、僕は持ってます。
所属事務所社長への“揺さぶり”として、八代さんのフルヌード写真を世に出すという方法を選んだと主張するレコード会社側。

生前、八代亜紀さんは、ヌード写真集の発売の可能性について聞かれた際に、「いや、それはないです」ときっぱりと答えていました。
「公開することが許されるかは、所有権とは別」
亡くなった方のプライベートな写真を、不特定多数の人の目に触れる方法で流布することに法的な問題はないのか?
「サン!シャイン」スタジオゲストの若狭勝弁護士は、レコード会社の主張する“所有権”と、このような形で“公開する”ということは“次元が違う”と話します。

若狭勝弁護士:
まず、この写真を撮った人にその所有権があるとは思うのですが、撮った人がおそらくレコード会社側に売った。売買契約書もあるという話もありますから。ですから、レコード会社が写真についての所有権があるということが前提となっている主張なんだと思うのですが、ただよしんば所有権があったとしても、所有権があるということと、その写真をこのような形で公開するようなことになるということは、次元が違う。公開することが許されるかどうかは、所有権とは別の視点で考えられなければいけないと。
私は写真を見ていないのでなんとも言えませんが、写真がわいせつ物として評価できるような写真であるとすれば、それをこういう形でCDを買った人に差し上げるという、公にすること自体は、わいせつ物の頒布罪に問われる可能性があります。

――外から見えない形でも?
内側にあったとしても、不特定多数の人が買って、中の写真を見ると。そこにかなり問題のあるわいせつ的な写真があったとすればそれはわいせつ物頒布罪になりうると。
成田修造氏:
さきほど「刀」みたいな話もありましたけど、何か争いの道具に人がされている。それが亡くなった方がされている、それは八代さんの意思でも全くない。これがよく分からない構造になっちゃっていますよね。

MC 谷原章介:
自分の裸の写真、男女関係なく、知らないうちに後々勝手に出されたら、それは嫌だと思うんですよね。
スペシャルキャスター 武田鉄矢:
確かなことは、これは決して八代さんが望んでいることではないということが、大きな事実ですよね。
(「サン!シャイン」4月16日放送)